百人一首 六十六

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もろともに あはれと思へ 山ざくら 花よりほかに 知る人もなし

 格調が髙い歌ですね~。大僧正行尊の歌です。
 行尊は、三条天皇の息子 小一条院敦明親王の息子の子です。つまり三条天皇の曾孫です。

 父と十歳で死に別れ、十二歳で近江の園城寺に入り、出家します。十七歳まで寺で脩行を積み、その後、脩驗道を志して諸國をまはりました。

 脩驗道は、山岳信仰を基盤に、山へ入つて厳しい脩行を行ひます。そして苦行の末體得した呪力によつて、加持禱祷を行ひます。我が國独特のものです。出羽三山、四國の石槌山、九州の英彦山、紀伊半島の熊野・大峰・金峯山などが知られてゐます。女人禁制です。

「山櫻よ、私と共にお互いを懐かしく思ひあつてくれ。孤独な私には、お前以外に気持ちをわかつてくれる人はいないんだ」

 厳しい脩行の中で、孤独な気持ちを詠んでゐます。すてきな歌です。

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このページは、宝徳 健が2014年6月11日 09:06に書いたブログ記事です。

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