凛として 十七

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 つづきです。
 大正八(1919)年夏、末弟に柔道を教えるためカウン家を訪れた政孝は、文学少女の面影を残した大きな瞳のリタに会う。ピアノを弾くリタは、政孝が鼓を持ってきていることを知り、演奏を聞きたいと頼んだ。

 「ヒゲのウヰスキー誕生す」(川俣一英著)によると、リタは「何か二人で合奏を。『オールド・ラング・サイン』ならご存知では?」と誘った。日本では「螢の光」の題で知られる有名なスコットランド民謡である。

 「悲しい別れの歌ですね」という政孝に、「いいえ、懐かしい昔を偲んで、杯を手に友と語り合おうという歌です。スコットランドを代表するロバート・バーンズの詩です」と教えた。おして、二人は英語と日本語で何度も歌った。

 その秋、フランスのボルドー地方へワインづくりの勉強に訪れた政孝は、リタに香水を贈った。その返礼にと、リタはバーンズの詩集を贈る。そこには「私の大好きな詩集を日本の大切な友人へささげます」と書かれていた。

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このページは、宝徳 健が2014年10月12日 06:15に書いたブログ記事です。

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