金閣寺(歴史的假名遣ひと正しい漢字)

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 本當の日本語はいいですね~。學べば學ぶほど心に染み入ります。つづきです。
 鶴川は素速く瞳をまぐらして、少年らしい推理に熱中してゐることを隱さずに、

「君が金閣がとても好きなのは、あれを見ると、お父さんを思ひ出すからなのかい?たとへばお父さんが金閣がとても好きつた、といふやうなわけで」

 この半分當つてゐる推理も、私の無感動な顔つきにまるで變化を與へてゐないことを感じた私は、それが一寸嬉しかつた。鴨川は、人間の感情を昆蟲の標本を作ることの好きな少年がよくさうするやうに、自分の部屋の小奇麗な小抽斗(しょうひきだし)にきちんと分類しておいて、時々それをとりだして實地にためしてみると謂つた趣味があるらしかつた。

「お父さんが亡くなつて、ずゐぶん悲しかつたらうねえ。それて、君、淋しさうなところがあるんだねえ。ゆうべはじめて會つたときからさう思つたよ」

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このページは、宝徳 健が2014年10月12日 06:27に書いたブログ記事です。

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