つづきです。
天井の片方には、飛翔する天人と、その奏でる琵琶や増えの繪が描かれてゐた。別の天井には白い牡丹を捧げ持つ迦陵頻伽(かりょうひんが)が羽摶いてゐた。それは天竺雪山に住む妙音の鳥で、上半身はふくよかな女の姿を師、下半身は鳥になつてゐる。また中央の天井には、金閣の頂上の鳥の友鳥、あのいかめしい金色の鳥とは似ても似つかぬ、華麗な虹のやうな鳳凰が描いてあつた。
釋尊の像の前で、私たちはひだまづいて合掌した。御堂を出た。しかし楼上からは去りがたかつた。そこで昇つてきた段の横手の南むきの勾欄にもたれてゐた、
私はどこやらに何か美しい小さな色彩の渦のやうなものを感じてゐた。それは今見て來た天上畫の極彩色の殘像かとも思はれた。豐富な色の凝集した漢字は、あの迦陵頻伽に似た鳥が、いちめんの若葉や松のみどりのどこかしらの枝に隱れてゐて、華麗な翼のはじを垣間みせてゐるやうでもあつた。
釋尊の像の前で、私たちはひだまづいて合掌した。御堂を出た。しかし楼上からは去りがたかつた。そこで昇つてきた段の横手の南むきの勾欄にもたれてゐた、
私はどこやらに何か美しい小さな色彩の渦のやうなものを感じてゐた。それは今見て來た天上畫の極彩色の殘像かとも思はれた。豐富な色の凝集した漢字は、あの迦陵頻伽に似た鳥が、いちめんの若葉や松のみどりのどこかしらの枝に隱れてゐて、華麗な翼のはじを垣間みせてゐるやうでもあつた。
コメントする