凛として 五十三

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 今日で第8章は終わりです。
 宮城蒸留所は四十四年竣工。最初の蒸留を終えたとき、政孝は従業員全員を集め原酒のテイスティングをした。
 
 口に含み政孝は「違うな」と言った。

「意に満たないものができたのか」とうなだれる従業員を前に、政孝はつけ加えた。

「これでいいんだ。北海道の者と違うからいい。これはおれがつくったものではない。この土地がつくってくれたものだ」

 そして工藤を呼び、「感謝を込めて、この酒を川に注いできてくれ」と命じた。

 工藤は涙をこらえながら川まで走り、できたての原酒をそそいだ。

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このページは、宝徳 健が2014年12月10日 07:09に書いたブログ記事です。

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