緊急避難と蜘蛛の糸(皇紀弐千六百七十五年八月十五日 弐)

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 帰省中の息子が面白い話をしてくれました。

 緊急避難と正当防衞は同じやうに解釈されてゐますが、緊急避難は、正對正です。正当防衞は正對惡です。

 緊急避難とは、自分の命が危ない時は、人を殺してもいいといふものです。例へば、乘つてゐた船が難破し、救命ボートで脱出したとします。定員はあと一人です。でも、自分ともう一人がまだ乘つてゐません。その時は、相手を殺してでも自分が助かつて良いといふ考へ方です。正当防衞は説明の必要はないでせう。

 さて、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の話しはご存知ですね。

 地獄に落ちた罪人の上にある日脱出できる蜘蛛の糸が垂れてきます。その罪人は、惡人ですが、生前一つだけ良いことをしたので、釈尊が助けようとしたのでした。

 罪人は、その糸を昇つていきます。ふと下をみると、他の罪人も助かりたいので、その糸を昇つてきます。糸は今にも切れさうです。罪人は、他の罪人に向かつて、昇るな!これは俺の糸だ!と叫びます。その瞬間に、蜘蛛の糸は切れて、罪人も他の罪人もまつさかさまに地獄へ逆戻りしました。

 ひとりだけ助からうとした心のやましさを教へた短編小説です。

 でも、これは西洋發の緊急避難ですよね(笑)?東洋と西洋の考へ方の差がわかります。東洋に生まれてよかつた。

 なるほど、かういふことを息子に教へてもらへるとは(笑)。

 では、私からもひとつ。

 地獄では、物を食べるのに長い箸がおいてあります。地獄の罪人は、その箸で食べようとするのですが、長くて自分の口に入りません。だからいつも腹ペコです。

 天國でも、やはり長い箸がおいてあるのですが、天國では、一人の人がもう一人に、「はい、どうぞ」と食べ物をその長い箸で取つて、食べさせてあげます。その人が食べ終はると、今度は食べた人が食べさせてくれた人に、「はい、どうぞ」と食べさせてくれます。だから天國の人は腹ペコではありません。

 さうです、天國と地獄には、實は同じものがおいてあるのですが、人の心の在り方によって結果が違ふのですね。

 地獄には實は、血の池地獄とか灼熱地獄とかはなくて、天國と同じものがあるのですね。問題は人の心か~。

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このページは、宝徳 健が2015年8月15日 09:27に書いたブログ記事です。

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