入院中でも懲りない男 八(皇紀弐千六百七十五年九月十三日)

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 何囘目かの軆體測定のときにショックを受けました。握力を計ったら35しかないではないですか。愕然としました。軆體能力が人生でピークだつた髙校時代、私の握力は、右で70弱、左で60弱でした。

 スポーツ、格闘技(喧嘩も)においては、最終的には握力の強弱がものを云ひます(フィジカル面についてだけ言及してゐます)。

 例へばテニス。テニスは「足ニス」と云はれるほど、脚力の瞬発性と持久性の両方が求められます。どんなに技術がうまくてもこの脚力の両能力が低いテニスプレーヤーは怖くありません。しかしながら、脚力は強くなる上での必要条件ではあつても十分条件ではありません。握力こそが十分条件なあのです。テニスの5セットマッチはマラソンよりきついと云はれています。3セットマッチでも、フルセットの混戦になれば3時間以上は珍しくありません(今はタイブレークで早くなつてゐますが、昔は、ジュースゲームで延々と續いてゐました)。握力が弱ければその長時間に耐えることはできません。

 喧嘩もさうです。喧嘩が強い奴は例外なく握力が強い。

 ああ、なんといふこと。なんといふ握力の弱さ。退院したら少しずつ軆體能力の回復に努めます。

 さて、九月九日の重陽の節句の闘病日誌です。
九月九日(入院七日目、手術五日目)
 前日の夜に、K医師が病室にいらっしゃいました。「寶德さん、調子はどう?」「絶好調です」「本當にさうみたいだね。じゃあ、明日、術後カテーテル檢査を受けやうか」「お任せします」「術後五日目で早いけどまうよさそうだから」。數分後に、K医師が同意書を持つてきたのでサインしました。

720
 いつも通りの院長巡回。院「寶德さん、おはようございます。調子はどうですか?」寳「はい、絶好調です。今日、カテーテル檢査をやるさうです」院&看「えっ? もうですか? よほど調子がいいんですね。それはいい」

800
 「寶德さん、本日担當します、〇〇です(看護婦さん)」。この病院の素晴らしい看護婦さんたちの中でも特にお氣に入りの方の中の一人です。新しい着替えと檢査用の下着(Tバックみたいな紙パンツ)をもらいました。シャワーを浴びて準備OK。最初は午後からだと聞いていたのですが、内科の先生が午前中からやりませう、とのこと。え~、昼食どうするの? ひとりでは食べられない。まあいいか。

1030
 カテーテル檢査開始。前にも書きましたが、この檢査が一番嫌いです。そして、いつもの内科の先生が不在なので別の先生が・・・・。医師によつて、こんなにも違ふのですね。技術的なと云ふことより、檢査全體のリーダーシップ及びマネジメントが劣るので、比較してはいけないのですが、とても不安になります。医師は医療技術に目が向きがちですが、検査や手術の時には、その場面を統率する力が弱いと患者は不安だらけになります。

1130
 病室に歸へる。「ご飯、困ったな~」と思ってゐると看護婦さんが食べさせてくれました。母以外にご飯を食べさせてもらうなど、彼女で二人目です。「いや、いいですよ。自分で食べます。そんなことまでしてもらったら惡いです」「これも仕事の内です」。本當に恥ずかしかつた。

1200~1700
 カテーテル檢査は、終了後足を固定され、4時間ベッドの上で上を向いて寢なくてはなりません。その4時間が終わつたら、その後1時間は固定をはずして、ベッドでゴロゴロ。そしてやうやく起き上がれます。造影剤を入れてゐるので、腎臓に負担をかけないためにも、トイレに行かなくてはならないのですが、自分では行くことが出来ません。「トイレに行きたくなったら言ってくださいね。尿瓶で採るから」と看護婦さん。ご飯を食べさせてもらった上に・・・・・・・。絶對に嫌です。「そんなこと遠慮するではなく、腎臓に負担がかかるから」と言ってくれますが、幸い水分を控えめにしていたこともあつて、自分で行けるやうになるまでセーーーーフ。

1800
 「夜担當させていただく〇〇です」。男の看護婦さんです。がっくり(笑)。 つづく

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このページは、宝徳 健が2015年9月13日 02:50に書いたブログ記事です。

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