源氏物語 10(皇紀弐千六百七十六年六月十弐日 參)

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 前回まで、第二帖に搭乗する女性は、空蟬だとまうしあげてきましたが、これは、ある女性に當てられれた、さうですね~、ニックネームとでも云へばいいのでせうか、それなんです。

 本名(?)は、夕顔です。

 そして、第二帖で、夕顔が登場してくるまで、なぜ、こんなにまどろつこしい、雨夜の品定めをやつてゐるかも重要です。「どんな女がいいかな~」「あんな女がいいんぢやない?」とやつてゐますが、これはすべて夕顔が登場するための布石なんです。夕顔といふ女性は、そんな条件にぴつたりあふ、素敵な女性なのです。天才 紫式式部はさすがですね。

 さて、光源氏と頭中將(とうのちゅうじょう)が二人で話してゐたところに、AとBといふ二人が參加します(本當は名前があるのですが、源氏物語は一々登場人物の名前を覺へると讀めなくなるので、AとBで結構です)。

 ごめんなさい、この雨夜の品定めは長いのですが、あと二、三回書かせてください。こんなくだらない會話なのですが、この後の、夕顔や第二十二帖の「玉蔓(たまかずら)」への重要な布石になつてゐるのです。

「ふん、あなたたち、私のこのストーリーを讀めるものなら讀んでみてよ」といふ、紫式部の挑戰を受けてゐるのです。
A「今はときめいてゐても、もともと二流と云ふのは、世間の目にも、當人の考へもやつぱり二流でせう。いくら昔は一流でも落ち目になるとあれこれと不足が生じ、これも二流でせうね。昨今は地方の國守で不自由のない生活を營なんでゐる者がゐたりして、さういふところに、まんざらではない女がゐますよ。まぶしひほど大切に育てられ、なかなか逸品がゐまひてねえ」

 雨夜の品定めでは、こいつが一番しゃべります。しゃべりまくります。

光「つまり、何もかもお金があることなんですか?」

頭「あなたらしくない發言ですね(笑)」

A「草深い家に、思ひもかけないいい女がゐて、その驚きが男の心を捕へてしまひます」

A「でも、カールフレンドとしてつきはふぶんには不足が無くても、妻として選ぶとなると難しいですねえ」

A「男でも、帝に仕へて天下の柱石となる人材をみつけるのは難しい。でも、國は大勢で治めるからいいけど、一家の主婦は一人だけだから大變です。いろいろと求められてしまひます。一勝のつれあひを一人だけ選ぶとなるとうまくいかないし。よしと思つた女がひどかつたり、あるいは、生真面目で家事をさせるの分には申し分はないけど、風情に欠けるといふのは味氣ない。夫の仕事をまるで理解しないのも考へものです」

A「家柄や器量の事は云ひません。真面目で、すなおで、夫に從ひ、少しでも成長する女がよいでせう。思案が深いのかどうか、急に尼になつたりするもの厄介ですね」

 よーーーー、しゃべりますね~。まだまだあるのですが、重要な部分以外h割愛しますね。ここまで書いてもしんどい。

頭「女にはよくあることだらうけど、愛してゐる相手が浮氣してゐるんぢやあないか、そんな疑念が生じたといはつらいだらうね~。自分のはうに過ちがなく、大目にみてゐれば、夫が非を改めてくれるだらうと思つて待つてゐても、さうなるとは限らない。まあ、許せないと思ふやうなことが起きたときも氣長にかまへて我慢するのが一番なんだがね」

 自分の妹、葵の上を光源氏に嫁に出してゐる、頭中將の皮肉(?)。でも、光源氏は無表情です。この光源氏は、いろいろな意味で人を超越してゐるところがあります。

 ふ~、しんどい。つづく

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このページは、宝徳 健が2016年6月12日 08:32に書いたブログ記事です。

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