空蟬が遠くに行つてしまつたので、氣落ちした光源氏です。
當時は、云ふまでもなく通婚です。光源氏の正妻 葵の上は、左大臣家の娘です。光源氏が訪ねて行くとそれはそれは歡待してくれるのですが、光源氏は、今ひとつ、葵の上となじめません。政略結婚である上に、年上ですし、氣位も髙いからです。葵の上もそんなに光源氏が好きではありません。
當時は、云ふまでもなく通婚です。光源氏の正妻 葵の上は、左大臣家の娘です。光源氏が訪ねて行くとそれはそれは歡待してくれるのですが、光源氏は、今ひとつ、葵の上となじめません。政略結婚である上に、年上ですし、氣位も髙いからです。葵の上もそんなに光源氏が好きではありません。
だからどうしても足が遠のきます。
一時、かよひつめた六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)も、出自は最髙、敎養も髙い。人柄も立派ですが、一途で眞面目です。浮氣は嚴禁です。光源氏は、少々敬遠氣味です。
といふことで、光源氏は夕顔の事が氣になつてしかたがありません。
「どういふ人なんだらう」
それなりの軆分の女性みたいです。でも素性がわかりません。生活は質素。あへて軆分を隠してゐるところがあります。う~ん、でも、センスは惡くないみたいです。
やがて、惟光のはからいで、光源氏は夕顔のところに通ふやうになりました。でも、夕顔はなびいてきません。
「ふん、それほどのおんなのかい」
光源氏はへそをまげます。でも、氣になります。不思議な魅力を感じ、どんどん深入りしていきます。
八月十五日、満月の冴えるわたる日に、光源氏は、つひに、夕顔を契りをかはしました。
光「近くにゆつくりできる館がありますから行きませんか?」
夕「今からですか?」
光「いいから、いいから」
日常を離れた密かなアバンチュールです。
さあ、この館で事件が起きます。 つづく
一時、かよひつめた六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)も、出自は最髙、敎養も髙い。人柄も立派ですが、一途で眞面目です。浮氣は嚴禁です。光源氏は、少々敬遠氣味です。
といふことで、光源氏は夕顔の事が氣になつてしかたがありません。
「どういふ人なんだらう」
それなりの軆分の女性みたいです。でも素性がわかりません。生活は質素。あへて軆分を隠してゐるところがあります。う~ん、でも、センスは惡くないみたいです。
やがて、惟光のはからいで、光源氏は夕顔のところに通ふやうになりました。でも、夕顔はなびいてきません。
「ふん、それほどのおんなのかい」
光源氏はへそをまげます。でも、氣になります。不思議な魅力を感じ、どんどん深入りしていきます。
八月十五日、満月の冴えるわたる日に、光源氏は、つひに、夕顔を契りをかはしました。
光「近くにゆつくりできる館がありますから行きませんか?」
夕「今からですか?」
光「いいから、いいから」
日常を離れた密かなアバンチュールです。
さあ、この館で事件が起きます。 つづく
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