なんと、夕顔が亡くなつてしまひました。自宅 二条院に歸つた光源氏はヒッキーになつてしまひました。
光「どうして一緒に行つてやらなかつたのか。もし山寺で生き返つたら、見捨てられたと思ひ私を恨むだらうなあ」
自責の念がこみあげ、夕顔へのいとおしさも募ります。頭は痛くなるし発熱もしました。
光「どうして一緒に行つてやらなかつたのか。もし山寺で生き返つたら、見捨てられたと思ひ私を恨むだらうなあ」
自責の念がこみあげ、夕顔へのいとおしさも募ります。頭は痛くなるし発熱もしました。
頭中將(とうのちゅうじょう:覺へてゐますか?)が帝の使ひとしてやつてきて、「参内するやうにとの命だ。昨夜もいなかつたが、どうしていたんだ?」と問ひかけます。光源氏は苦し紛れに
「乳母を見舞いに行つたところ、その家の者が休止したんだ。穢れの軆なので参内できない」と云ひます。
夜になりました。惟光がやつてきました。
惟「つつがなく手配しました」
光「あれが最期だつたんだな、本當に」
惟「はい」
光「右近(光源氏の乳母の息子)はどうしてゐる」
惟「自分も死にたいと。本當に死ぬかもしれません。よくなだめてはおきましたが」
光「さうか。不都合かもしれないが、私もこのままでは氣がすまない。もう一度亡骸に別れを告げたい」
と馬で山寺を訪ねて最後の別れを惜しみました。つづく
「乳母を見舞いに行つたところ、その家の者が休止したんだ。穢れの軆なので参内できない」と云ひます。
夜になりました。惟光がやつてきました。
惟「つつがなく手配しました」
光「あれが最期だつたんだな、本當に」
惟「はい」
光「右近(光源氏の乳母の息子)はどうしてゐる」
惟「自分も死にたいと。本當に死ぬかもしれません。よくなだめてはおきましたが」
光「さうか。不都合かもしれないが、私もこのままでは氣がすまない。もう一度亡骸に別れを告げたい」
と馬で山寺を訪ねて最後の別れを惜しみました。つづく
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