光源氏がくどきにくどいてつひに登場した女性・・・。胴長で顔は青く、とりわけみつともないのは鼻、普賢菩の乘る象の鼻みたいです。長く伸びて垂れ、先端が赤い。顔もひどく長い。体は骨張つて、肩のあたりは痛さうなほどゴツゴツしてゐます。着ているものもセンスなし。ただ顔の形は美しく、とりわけ髪は黑々として長く、床に広がり溢れてゐます。
わ・わたしがこんなひどい表現をしてゐるのではないですからね(汗)。紫式部です。
わ・わたしがこんなひどい表現をしてゐるのではないですからね(汗)。紫式部です。
光源氏は狼狽して、歌を贈つて立ち去ります。
氣の毒だなあ。と、色戀とは別に、プレゼントをします姫君から手紙は返つてきますが、紙も筆遣いも、雅びとは言い難い。そへられた和歌に首をかしげてゐると、衣装箱が差し出され、中身は「元旦のご装束に」といふことですが・・・。
「これを私に着ろといふのか」。歌までがはしたない。
このとき光源氏が詠んだ和歌がこれです(相手に贈ってはいない)。
なつかしき 色ともなしに 何にこの すゑつむ花を 袖にふれけむ
「なつかしひ色でもないのに、なんでこの花に袖を触れてしまつたのか。あの赤い鼻がいまいましい」
だからこの姫君の名前が、源氏物語では、末摘花と呼ばれてゐます。
世の女性からすれば、「冗談ぢやあないわよ」でせうが、光源氏のすごいところは、末摘花を見捨てなかつたことです。これは後日。
コメントする