源氏物語54(皇紀弐千六百七十七年四月十四日 四)

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 光源氏の正妻 葵の上に憑りついてゐる、もののけの正體探しが始まります。

 六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)も胸騒ぎを覺へます。ますます氣が滅入つてしまひます。

 光源氏が訪ねてきますが、そう簡單に氣はおさまりません。

 「つらい、にくい、苦しい、でも好き」

 なんせ、光源氏には子供が生まれるのです。もう訪ねてこないかもしれません。

 光源氏の近くにゐる葵の上が憎くてしかたがなくなります。

 葵の上の苦しみは、もう、死ぬのではないかと思はれるぐらいひどくなつてゐます。

 憑りついたまま決して離れやうとしないもののけが

 「お禱りを少しゆるめてくだっさい。源氏の君に申し上げたきことがあります。ここにおよびください」

 光源氏が来てみると、葵の上は、この上なく美しいではありませんか。

 光源氏をみて、ホロホロと涙をこぼします。まるでこの世の名残を惜しむやうに。

光「夫婦は永遠のものだ。病氣もすぐによくなるさ。さ、氣を強く持って」

葵「とても苦しいの、楽にしてほしくて、あなたをおよびしたの。お祷りをやめさせて。思つてもいなかつたことなのに、思いつめるとこんなこともあるのね」

 光源氏は、葵の上が何を言つてゐるか見當がつきません。

なげきわび 空に亂るる わが魂(たま)を 結びとどめよ したがひのつま

 こんな時に歌を? 光源氏は不思議に思ひます。

 光源氏は氣づきます。

これは、六条御息所の聲ではないか

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このページは、宝徳 健が2017年4月14日 02:43に書いたブログ記事です。

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