光源氏の正妻 葵の上に憑りついてゐる、もののけの正體探しが始まります。
六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)も胸騒ぎを覺へます。ますます氣が滅入つてしまひます。
光源氏が訪ねてきますが、そう簡單に氣はおさまりません。
「つらい、にくい、苦しい、でも好き」
なんせ、光源氏には子供が生まれるのです。もう訪ねてこないかもしれません。
六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)も胸騒ぎを覺へます。ますます氣が滅入つてしまひます。
光源氏が訪ねてきますが、そう簡單に氣はおさまりません。
「つらい、にくい、苦しい、でも好き」
なんせ、光源氏には子供が生まれるのです。もう訪ねてこないかもしれません。
光源氏の近くにゐる葵の上が憎くてしかたがなくなります。
葵の上の苦しみは、もう、死ぬのではないかと思はれるぐらいひどくなつてゐます。
憑りついたまま決して離れやうとしないもののけが
「お禱りを少しゆるめてくだっさい。源氏の君に申し上げたきことがあります。ここにおよびください」
光源氏が来てみると、葵の上は、この上なく美しいではありませんか。
光源氏をみて、ホロホロと涙をこぼします。まるでこの世の名残を惜しむやうに。
光「夫婦は永遠のものだ。病氣もすぐによくなるさ。さ、氣を強く持って」
葵「とても苦しいの、楽にしてほしくて、あなたをおよびしたの。お祷りをやめさせて。思つてもいなかつたことなのに、思いつめるとこんなこともあるのね」
光源氏は、葵の上が何を言つてゐるか見當がつきません。
光源氏は氣づきます。
葵の上の苦しみは、もう、死ぬのではないかと思はれるぐらいひどくなつてゐます。
憑りついたまま決して離れやうとしないもののけが
「お禱りを少しゆるめてくだっさい。源氏の君に申し上げたきことがあります。ここにおよびください」
光源氏が来てみると、葵の上は、この上なく美しいではありませんか。
光源氏をみて、ホロホロと涙をこぼします。まるでこの世の名残を惜しむやうに。
光「夫婦は永遠のものだ。病氣もすぐによくなるさ。さ、氣を強く持って」
葵「とても苦しいの、楽にしてほしくて、あなたをおよびしたの。お祷りをやめさせて。思つてもいなかつたことなのに、思いつめるとこんなこともあるのね」
光源氏は、葵の上が何を言つてゐるか見當がつきません。
なげきわび 空に亂るる わが魂(たま)を 結びとどめよ したがひのつま
こんな時に歌を? 光源氏は不思議に思ひます。
光源氏は氣づきます。
これは、六条御息所の聲ではないか
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