どの本よりわかりやすい南総里見八犬伝 再23(皇紀弐千六百七十七年六月十二日)

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 信乃が犬の与四郎の首を切ったときに、「孝」の字が浮かぶ白い玉が出てきたところまででした。
 信乃は、父が死んだ今となっては、こんなものなんの役に立つものかと、腹を立てて庭に投げ捨てました。すると、玉は、跳ね返ってふところに飛び込みます。何度投げても同じことになります。信乃は

「この玉には霊があるのかもしれん。母上が落としたもうたとき、犬が飲み込んだので、十二年経っても元気だったのは、この玉の霊験だったのだろう。でも、こんな玉も宝剣も何の役に立とうか。おれが死んだら誰かが持って行くがよい」

 と父、番作の隣に並んですわり、村雨丸を準備し、まず上半身の着物を脱ぎました。ふと見れば、自分の左上に牡丹の花に似た大きなあざができています。えっ? 今までこんな、あざはなかったはずだ。

 まあ、どうでもいい。死のう。

 村雨丸を抜いて腹につきたてようとしたとき、「待て、信乃、お待ち」と三人の男女が飛び出してきました。糠助と蟇六と亀篠です。さあ、どうなることでしょうか。つづく。

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このページは、宝徳 健が2017年6月12日 08:14に書いたブログ記事です。

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