どの本よりわかりやすい南総里見八犬伝 再31(皇紀弐千六百七十七年七月十五日 弐)

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 この土地を治める領主の陣代が浜路に恋をしてしまいました。
  陣代は、寝ては夢、起きてはうつつな状態です。手下が「だいぶいかれましたなぁ。お相手は蟇六(ひきろく)の娘、浜路とやらでございましょうか」と言いました。でも、陣代も浜路に信乃という決まった相手がいることを承知しています。

手下「それは遠慮のしすぎというもの。非記憶は配下の村長。任免権はあなたにあります。たとえいいなずけがあろうとも、あなたの話をもっていけば、たちまち前の話を取り消して、こちらのいうがままですよ。拙者が縁談をまとめてみせましょうか」

 陣代は、大いに喜んで任せました。次の日、たくさんの贈り物をたくさんの家来にかつがせて、仲人まで連れて、この手下は蟇六の屋敷に行きました。

 蟇六は手下の話を聞くと、亀篠(かめざさ)と相談して返事をしました。

蟇六「陣代さまのお申し出はまことに身に余る光栄でございます。ただ、ご存知の通り、信乃を浜路の婿として村長の職をゆずる約束をしているものですから。何とか信乃を遠ざけたうえで・・・」

手下「いい加減な事を申すな!本気でこの縁談をまとめたいのなら、まず、承諾して、そのあとで信乃を追い出せばよいではないか。ぐずぐぐしていたら、どうなることかわかっているのか。さあ、今、返事をいたせ!さあ、さあ!」

蟇六は青くなって歯をガタガタさせて「それがし、こんな良縁をどうしておことわり申しましょう。邪魔者がいると申し上げるだけで、そやつを片付けるまで、この縁談を内緒にしていただきてたいを申しているだけでございます・・・・・」

手下「その点は了承したぞ、早速承諾してもらってありがたい。では、この引き出物を受け取るがいい」

 それはそれはたくさんの引き出物です。中でも蟇六夫婦を喜ばせたのは、二十枚の白銀と上等の巻衣ご本でした。二人は信乃と浜路に気づかれないようにあわてて土蔵にしまいました。でも、この光景を額蔵がみていたのです。

 さあ、二人の悪知恵が働き始めます。どんなことをして信乃と浜路を引き裂こうとするのでしょうか? つづく。

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このページは、宝徳 健が2017年7月15日 07:38に書いたブログ記事です。

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