蘇秦に冷たくあしらわれた張儀は、奮起して秦に向かいます。それを知った蘇秦は、喜んで、部下に事の次第を打ち明け、身分を隠させて、十分な路銀
を持たせて張儀のあとを負わせます。そして、秦までの道のり、張儀の面倒をよくみて、首尾よく張儀を秦に送り届けます。さあ、張儀はどうなるのでしょう
か。
さて、昨日からの続きです。ようやく重い腰をあげた張儀です。
楚の使者と会いました。
楚は、土地、人民を失ったばかりか、あやうく滅亡の瀬戸際に追い込まれました。陳軫の意見を聞かずに、張儀の策にはまったのです。まさに、兵は詭道なり ですね。
「ここからここまで、縦横六里の土地です」
使者は言いました。
「私は六百里と聞いてまいった。六里とはなんだ」
張儀
「小心者のこのわたしが、六百里の地を贈るなど言うはずがない」
使者は帰国して報告しました。楚王は怒り、兵をおこして秦を討とうとしました。陳軫が謁見を請いました。
「申し上げたき儀がございます」
「なんじゃ、申してみよ」
「秦を討つのは得策ではありません。むしろ、城を一つ与えて連合し、斉を討つ方がよいと思います。秦に与えたかわり斉から取る。損はありません。あなた
は、斉と断交したうえ、秦の違約を責めようとなさる。これでは、斉と秦の手をにぎらせてやるようなものです。わが国の損害ははかりしれません」
楚は、土地、人民を失ったばかりか、あやうく滅亡の瀬戸際に追い込まれました。陳軫の意見を聞かずに、張儀の策にはまったのです。まさに、兵は詭道なり ですね。
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