どの本よりわかりやすい南総里見八犬伝 再39(皇紀弐千六百七十七年八月八日 四)

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 不思議な行者が村人に、一束の柴を持って円山塚のふもとに来るように言ったところまででした。
 その日の夕方、村人達が円山塚のふもとに集まってきました。行者は修行僧のようないでたちで、一心不乱に変なお経を読んでいます。その前には、行者が掘ったであろう大きな穴があります。村人達はその穴に柴を投げ入れます。

 たそがれが迫るころ、行者は柴に火をつけて言いました。

「この火の中に銭を投げ捨てれば、投げ捨てるほどそれだけみ仏の救いのみ手がのべられるぞよ」

 村人達は、吾を先にと、幾百幾千という銭を投げ捨てました。その中に、行者が身を躍らせて飛び込むと、火が立ち上り、行者は、たちまし骨も残らず灰となって消えうせました。村人達はこれをみて、ありがたやありがたやと涙を流して喜びました。そして、日がすっかり暮れたので、それぞれの家にかえって行きました。

 さて、夜中を過ぎた闇の中。その円山塚のところを、旅駕籠がやってきました。一体誰でしょう。つづく。

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このページは、宝徳 健が2017年8月 8日 06:01に書いたブログ記事です。

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