カウンセリングの技法 再12(皇紀弐千六百七十八年二月二十七日 四)

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 カウンセリングには三段階がありました(20100924)。

①リレーションをつくる
②問題の核心をつかむ
③適切な処置をする

 ②の「問題の核心をつかむ」を勉強しています。今日から問題の核心をつかむための「明確化」を一緒に勉強しましょう。

 リレーションを作るために「受容と支持」が必要でした。問題の核心をつかむために「繰り返し」を勉強しました。勉強したら学習に転換させてください。

 「学習」=「学ぶ」+「習う」=「まねる」+「何度も同じ事を繰り返す」です。

 明確化とは、クライエントが薄々気づいてはいるけれど、まだはっきりと意識化していないことを先取りしてそれをカウンセラーが言語化(意識化)することいいます。

 この明確化は、あまり心の奥深くまで探らないでください。特に私たち素人は。もっぱら言葉による表現に焦点を当てて反応します。

 さて、例を挙げて明確化の技法を勉強しましょう。

 「先生今日お時間ありますか?」とクライエントが言いました。「いやー、今日は忙しくてね」とだけ言って終わるのは普通の会話です。これ実際に私はよくやります。忙しいという言葉は使いませんが。

 「何か私と話したいことがありますか?」というのが「明確化」です。「今夜お酒でも飲みたい?」とまでいくと、明確化ではなく「推論」になります。

 では、こういうときは?

「先生、私みたいな人もたまにはいるのですか?」

 この明確化は

「こんな悩みを持っているのは自分だけと思っているの?」 です。

 明確化というのは、意識の面積を拡大する作業です。意識の面積が拡大すると、人間はその言動に現実性が出てきます。意識化しないといつまでも、空想的思考、願望的思考の繰り返しになります。このことは、意識の面積の少ない人たちの行動を観察すればわかります。幼児なんかがそうですね。

 では、明確化の練習をしましょう。それぞれの言葉にあなたならどう答えますか?先に答えを見ないでね。何かの紙に答えを書いて、それを後述する答えと照らし合わせてください。

①「君、今、お金持ってる?」

②「君の会社はボーナスがたくさんでたんだろうなぁ」

③「先生、カウンセリングくらいで本当に人間の性格が変わるのでしょうか?」

④「あなたは、自宅から勤め先まで近くていいですね」

⑤「先生もたまには休講にしないかなあ」

⑥「牧師でも夫婦喧嘩するんですか?」

⑦「あなた、今夜も帰りが遅いの?」

⑧「あと何回、面接に来ればいいですか?」

⑨「今夜もまた残業があるのかなあ?」

⑩「あなたの学校は共学だからいいわねえ」

 もちろん数学や物理のように答えがきちんとあるわけではありません。また、状況によって言葉の含みが違ってきます。ですから、次の解答が必ずしも正解ではありません。明確化とは何かというイメージをつかんでください。

①「持っているよ。いくら貸そうか」または「貸してやりたいけど、今あいにく持ち合わせがないんだよ」

※でも、世の中には実際に立ちの悪いのがいますから、そういうやつには「もっているよ」といって、あとはすましてください。

②「君のところは少ないの?」または「ボーナスもっとほしい?」

③「カウンセリングくらいで人間の性格は変わらないと思っているのね」

 カウンセリングへの不信感を述べていることがキャッチできればいいですよ。反論・議論する前に、まず相手の言いたいことを明らかにしましょう。その結果、もし問いが純粋に知的なものであれば答えてあげてください。

④「あなたは遠方からの通勤で大変なのでしょうね」または「はい、おかげさまで。ところであなたは、どちらから?」

⑤「たまには息抜きしたいよね」

⑥「牧師は夫婦喧嘩しないと思っている?」

⑦「そうなんだ。たまには夕食を一緒にしたいところなんだがなあ」

⑧「もうぼちぼち面接を終了してもよいと思っているの?」または「面接に来るのが大変?」

⑨「そうだよ。何か今夜は都合が悪いの?」または「今夜は残業がないよ。いつもこうだといいね」

⑩「共学がうらやましいのでしょうね」または「女子だけの学校はあまり好きじゃないわけよね」

 頭が混乱してきたでしょう。実際に人と接している場合、いちいち、これは受容した方がいいか、明確化した方がいいか、繰り返しした方がいいか、なんて、考える暇はありませんものね。

 動きたいように動けばいいのです。そして、後で、振り返って直せばいいのです。止観シートなんかを使って。止観シートはまたいずれ紹介しますね。

 要は、カウンセラーは、いつも、どのようにでも対応できるように、日ごろから自分を鍛える必要があるということです。to be goodですね。

 将棋や囲碁のプロが、試合が終わった後、その日の棋譜を朝まで検証するように・・・。

 そして、受容も支持も繰り返しも明確かも・・・。そうです、ディフェンスをしてあげて、一度受け留めることなんです。それが、人間つい、「何を言ってるんだい、それはね・・・」とオフェンスをしてしまいます。その瞬間にクライエントとの関係は終わります。何回も続くと、それが積み重なって、負の貯金が相手の心にたくさんたまります。

 そっか・・・・・・・。自分で書いてて自分で納得してる私はどうしようもないですが・・・。

 次回からは、問題の核心をつかむの次の段階「質問」を勉強します。どんどん一緒に勉強から学習に転換しましょうね。

 質問があれば、メールでもこのブログのコメントでもどうぞ。カウンセリングを勉強すると、最初はどうしても「そうは言っても・・・」となるはずですから。 


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このページは、宝徳 健が2018年2月26日 23:33に書いたブログ記事です。

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