戰國策 再68(皇紀弐千六百七十八年三月四日 四)

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 「士はおのれを知る者のために死す」の続きです(20091204)。

 「士はおのれを知る者のために死す」の続きです。
 予譲は今度は、体中に漆を塗って、らい病患者に見せかけました。体中がかゆそうですね。その上、ひげをそり、繭を落とし、顔に刀で傷をつけて、容貌を変えました。

 他人が見て自分が分かるかどうかを試すために、自分の妻の横を歩きましたが、妻は気づきません。当時の妻は、夫に仕えていましたから、わかって当然なのでしょうね。私のガミさんなど、ちょっと変装しただけでも気づいてくれないでしょう。まあ、そんなことはいいとして。

 でも、妻が、「姿かたちは違えども、声が何か夫ににているな」とつぶやきました。今度は、予譲は、炭を飲んで喉まで潰しました。

 最後に正体を明かして友だちに会いに行きました。友だちは予譲に言いました。
「そんなに苦心しても、なかなか目的は遂げられまい。心意気は分かるが、利口なやり方とは思えない。それだけの才能があるのだ。うまく襄子に仕えれば、きっと近づける。相手に近づいた上で実行すれば、いとも簡単にやり遂げられるはずだ」

 予譲は答えました。
「お前が言うのは、昔の友人のために新しい友人をやっつけ、前に仕えた主君のために、新たに仕えた主君を殺すということだ。君臣の義を乱すのも甚だしい。そんなやり方はない。おれが苦心するのは、君臣の義を明らかにしたいからだ。やりやすいからではない。臣下の誓いを立てておきながら、その主君を殺そうとする。これでは、最初から二心を抱いて仕えたことになる。おれが苦心するのは、後世、二心を抱いて仕える者を恥じ入らせようと思うからだ」

 さあ、その後のこと、襄子が外出しました。予譲は、通り道の橋のたもとで待ち受けました。どうなることでしょう。明日につづきます。

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このページは、宝徳 健が2018年3月 4日 16:00に書いたブログ記事です。

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