①リレーションをつくる
②問題の核心をつかむ
③適切な処置をする
リレーションを作るために「受容と支持」が必要でした。問題の核心をつかむために「繰り返し」「明確化」「質問」を勉強しました。
今日から、③適切な処置をする に入ります。
この次の段階を「処置」と呼びます。処置の技法に六つあります。
①リファー
②ケースワーク
③スーパービジョン
④コンサルテーション
⑤具申
⑥狭義のカウンセリングです。
先ずはリファーから勉強しましょう。
リファーとは「他に依頼する」という意味です。自分のところに相談に来たから、自分の部下だから、自分の生徒だから自分が終始一貫面倒をみなければならないというわけではありません。しかるべき場合には、リファーすることがクライエントに対する援助になります。
第一は、精神的疾患と思うときは、さっさと精神医科にリファーすることです。プロのカウンセラーでさえそうなのですから、素人の私たちでは手に負えません。まあ、企業現場において、ここまでのことはそうはありません。また、私たち素人では、精神的疾患かどうかを判断する術もありません。この判定方法もあるのですが、ここでは割愛します。
第二は、自殺願望の強いときです。これも企業現場ではあまりありませんね。あったとしても、そこに入っていってはいけません。
第三は、法律の絡んでいるケースです。離婚手続き、財産相続等々の場合がそうです。一般社会人を対象にカウンセリング・ルームを開設すると、四割ないし五割が法律相談に類するものだそうです。こういうときは弁護士に任せましょう。
第四は、自分の守備範囲を超えるときです。
つまり、私たち経営者・リーダーは、重度のクライエントには太刀打ちできないことになります。カウンセリングの本質を知って、それを、リーディングに活かすということなのでしょう。
気をつけておいていただきたいのが、重度であろうが軽度であろうが、クライエント(または少し精神的に弱い部下)は、たいていの場合、交流分析でいう「ゲーム」ないし「脚本」をしかけてくるということです。ゲーム分析については、このブログでかつて詳しく解説しました(まだ、ゲーム分析の記事は復活できていません)。
ゲームをしかけてくる相手は、相手がゲームに乗ってくるまでしかけてきます。ゲームは基本的には乗らないことが大切なのですが、そうすると「お前は冷たいやつだ」というメッセージがゲーマーからビシビシきます。また、自分がゲームをしょっちゅう起こす傾向にある人は「ここで、無視するなんて、自分は冷たいやつだ」と心でつぶやきます。そして乗らなくていいゲームに乗ってしまいます。
何を申し上げたいかというと、リファーする必要があるときに、悪魔のささやきのように、クライエント(または部下)に乗ってしまい。リファーできなくなってしまうことがないようにすることが何よりも大切だということです。
さて、この第四までは、私たち素人にはちょっと困難です。
リファーすべき時はまだあります。
第五は、時間の問題です。自分の守備範囲に入っているから引き受けたくても、出張・会談・授業などのため長期にわたり、一定期間面接のためにリザーブできないことがあります。そうすると面接を一時中断したり、面接が不規則になってクライエントを混乱に陥れる危険があります。そういうときは、時間的余裕があるカウンセラーないし、信頼できる人にリファーするとよいでしょう。ハードスケジュールのために面接を途中で断念・放棄すると「分析の仕荒らし」となり、かえって悪化させます。
第六は、カウンセラーと利害関係がからみあっているクライエントの場合です。浮気した妻がカウンセラーたる夫には相談できません。金銭上の失敗をした社員が人事部長に相談すれば、人事部長は聞いた以上聴かぬふりはできません。語った社員も正直にしゃべって不利をこうむります。
リファーするときの留意事項は、クライエントに拒否感を与えないことです。カウンセラーに嫌われた、軽くあしらわれたと誤解されない配慮が必要です。
「この問題は○○さんが詳しいから紹介しましょうか。もし会ってみて満足できなかった場合はまた来てください。どうしたらよいか一緒に考えますから」というような感じです。プロのカウンセラーは、ここで、電話で予約できないほど自我の弱い人を除いては、クライエント自身に交渉してもらうそうです。親切のつもりで紹介先に予約電話をすると、クライエントは義理で訪問するようになりモチベーションがあがりません。また、クライエントの依存症を増します。
リファーするためには、ふだんからリファー先をたくさん知っておくことが大切です。
もうおわかりですね。カウンセリングとは、クライエントよりもカウンセラーの方が努力するものなのです。経営も同じですね。
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