どの本よりわかりやすい南総里見発見伝 再92(皇紀弐千六百七十八年三月十四日 參)

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 現八が洞窟で出会った、変な男の話が続きます(20100422)。

義:犬川荘助(いぬかわそうすけ) 大塚村で蟇六・亀篠夫婦に雇われていた額蔵


忠: 犬山道節(いぬやまどうせつ) 浜路の兄。不思議な行者。
信:犬飼現八(いぬかいげんぱち) 大塚村の信乃の隣に住んでいた糠助の子供。古河で、 信乃と対決して一緒に行徳に流れていった。
孝:犬塚信乃(いぬづかしの) 大塚村の番作の子供 浜路の許婚
悌:犬田小文吾(いぬたのこぶ んご) 行徳の旅籠屋の息子
 「私を食らうだけ食らったその妖怪は、次の日の夕方、私の着物や太刀をつけて私になりすましました。私の後妻が美人だったので、かわいそうでした。後妻は、化け猫を夫と信じ、夜毎夜毎抱かれました。男の子をひとり生みましたが、けだものに精をすいとられてまもなくなくなりました。その偽者の私は、妾を次々と変えますが、みんな精を吸い取られて死ぬか、飽きて食い殺されるかしたのです。

 ただ、近ごろ入った、船虫(またでてきました)という女は、もともと好きもので化け猫と交わってもなんともなく、妖怪に気に入られています。

 ただ、我が息子の角太郎は、幼い時代から親孝行で、化け猫を親と信じて慕っているのです。でも、化け猫は後妻との子供が生まれてから、角太郎を毎日いじめぬいたばかりか、ひそかに殺して肉を食らおうとしたのですが、角太郎には身にそなわる霊玉があって、さすがの化け猫もどうすることもできません。

 しかし、この夏、角太郎夫婦を赤岩村の自宅に呼び返しながら、角太郎の妻、雛衣(ひなぎぬ)に濡れ衣をきせて追い出し、ついでに角太郎まで追い出して、私の遺産や田畑まで横領したのです。このままでは、角太郎も雛衣も危ないのです。どうか、角太郎夫婦を助けて、仇を討ってくだされ」

「なるほど、そうでしたか」と現八はうなづきながら、言葉を続けます。

「今のお話をうかがっていますと、ご子息は不思議な玉を所持し、養父犬村の姓をついでおられるから、われわれ犬士の一人に違いありません。あなたに頼まれなくても、死力を尽くして助け合い、その妖怪を滅ぼさずにおきましょうや。ただ、見知らぬ他人のそれがしが、今のお話をしましても、証拠がなく、笑いものにされましょう」

 男はいいました。
「証拠はとってあります」

 そう言って、妖怪と戦ったときに、妖怪の喉元を刺そうとして失敗したぼろぼろの担当を取り出し

「願わくば、角太郎がこの刀をもって仇を刺してくれるように。とはいうもの、角太郎はこの短刀を覚えておらず、疑うならばわしの髑髏(どくろ)がここのあります。角太郎の血をこれに降り注いだら凝り固まって、親子なることがはっきりわかるでござろう」

 と髑髏を渡してどこかに消え去りました。

 面白くなってきましたね~。つづく。

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このページは、宝徳 健が2018年3月13日 22:16に書いたブログ記事です。

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