雨夜の品定めを續けます。源氏物語を初めて讀んだ人や、讀み慣れてゐない人は、「なんでこんな女性評なんかをだらだらと書いてゐのだらか」と思ひます(20160621)。
これからたくさんの女性が出て來る布石を紫式部は打つてゐるのです。こんな「布石を打つてゐる」といふ考へ方は、どの解説書にも出てゐません。これまで源氏物語を讀んできた私の勝手な解釈です。
「なんで素人のお前がそんな解釈なんかするんだ」と思はれる方もいらっしゃるでせう。
そんな空想力を抱かせるのが、紫式部の天才の力なのです。そして、空想力を發揮して讀まないと、讀み續けることができないのも源氏物語です。
かと云つても、このブログは、源氏物語を讀みやすくすることをテーマにしてゐますので、雨夜の品定めはこのぐらいにしておきませう。雨夜の品定めの續きを讀みたい人は、第二帖だけ讀んでください。谷崎純一郎か与謝野晶子か・・・。決して慾を出して、他のところも讀まうとしないでください。その慾が源氏物語を讀めなくします。このブログで解説を讀んでからにしてください。
では、雨夜の品定めを飛ばして第二帖を続けます。
これからたくさんの女性が出て來る布石を紫式部は打つてゐるのです。こんな「布石を打つてゐる」といふ考へ方は、どの解説書にも出てゐません。これまで源氏物語を讀んできた私の勝手な解釈です。
「なんで素人のお前がそんな解釈なんかするんだ」と思はれる方もいらっしゃるでせう。
そんな空想力を抱かせるのが、紫式部の天才の力なのです。そして、空想力を發揮して讀まないと、讀み續けることができないのも源氏物語です。
かと云つても、このブログは、源氏物語を讀みやすくすることをテーマにしてゐますので、雨夜の品定めはこのぐらいにしておきませう。雨夜の品定めの續きを讀みたい人は、第二帖だけ讀んでください。谷崎純一郎か与謝野晶子か・・・。決して慾を出して、他のところも讀まうとしないでください。その慾が源氏物語を讀めなくします。このブログで解説を讀んでからにしてください。
では、雨夜の品定めを飛ばして第二帖を続けます。
さて、雨夜の品定めが終はつた後、この第二帖は、「方たがへ」が書かれてゐます。第三帖「空蟬(うつせみ)」への見事な布石を打つてゐます。
「方たがへ」とは、外出の際、行き先の方角が縁起が惡い時に、別の方角へ赴き、そこから目的地に向かふことを云ひます。大阪から、西宮に行くのがまずければ、一旦、京都に行ってから西宮に向かふやうなものです。
光源氏の正妻は、左大臣家の娘 葵の上です。雨夜の品定めに出てきた頭中將(とうのちゅうじょう)の妹です。とても良い女性なのですが、眞面目すぎて、光源氏には合いません。左大臣家も光源氏にはよくしてくれるのですが、どうしても、左大臣家から足が遠のきます。
それでもある暑い日に、光源氏は、内裏から左大臣家に向かはうとしました。すると、「今夜は内裏から見て左大臣家は惡い方角ですよ」と告げる者がゐました。方角は日毎に變はります。
「お泊りはいけませんよ」。その人は、また告げます。方角が惡いところに泊まるのは、方たがへの禁忌(きんき)を破ることになります。
「う~ん」と惱んでゐると、別の家臣が「紀伊守(きいのかみ)の屋敷に行かれたらよいでせう。なんでも最近、川の水を引きいれ、涼しいやうですよ」と云ひました。光源氏は行くことになりました。
それを知らせられた紀伊守は、「實は、父の家で愼むことがあつて、親戚の女たちがゴチャゴチャ來てゐるのですが・・・。失禮がなければよいのですが」と澁ります。「いいよ、人が多いのは好きだから」と、光源氏はお忍びで行くことにしました。
訪ねた屋敷は、涼しさを取り入れてほどよく過ごせます。光源氏は、一通りのもてなしを受けながら樣子を探つてゐると、障子の向こうの母屋に女たちが集まつてヒソヒソ話しをしてゐます。
どうも光源氏の噂話をしてゐるやうです。そこに一人の少年が姿を見せました。十二、三歳ぐらいです。つづく
「方たがへ」とは、外出の際、行き先の方角が縁起が惡い時に、別の方角へ赴き、そこから目的地に向かふことを云ひます。大阪から、西宮に行くのがまずければ、一旦、京都に行ってから西宮に向かふやうなものです。
光源氏の正妻は、左大臣家の娘 葵の上です。雨夜の品定めに出てきた頭中將(とうのちゅうじょう)の妹です。とても良い女性なのですが、眞面目すぎて、光源氏には合いません。左大臣家も光源氏にはよくしてくれるのですが、どうしても、左大臣家から足が遠のきます。
それでもある暑い日に、光源氏は、内裏から左大臣家に向かはうとしました。すると、「今夜は内裏から見て左大臣家は惡い方角ですよ」と告げる者がゐました。方角は日毎に變はります。
「お泊りはいけませんよ」。その人は、また告げます。方角が惡いところに泊まるのは、方たがへの禁忌(きんき)を破ることになります。
「う~ん」と惱んでゐると、別の家臣が「紀伊守(きいのかみ)の屋敷に行かれたらよいでせう。なんでも最近、川の水を引きいれ、涼しいやうですよ」と云ひました。光源氏は行くことになりました。
それを知らせられた紀伊守は、「實は、父の家で愼むことがあつて、親戚の女たちがゴチャゴチャ來てゐるのですが・・・。失禮がなければよいのですが」と澁ります。「いいよ、人が多いのは好きだから」と、光源氏はお忍びで行くことにしました。
訪ねた屋敷は、涼しさを取り入れてほどよく過ごせます。光源氏は、一通りのもてなしを受けながら樣子を探つてゐると、障子の向こうの母屋に女たちが集まつてヒソヒソ話しをしてゐます。
どうも光源氏の噂話をしてゐるやうです。そこに一人の少年が姿を見せました。十二、三歳ぐらいです。つづく
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