源氏物語 再48(皇紀弐千六百七十八年六月三十日 六)

| コメント(0) | トラックバック(0)
深き夜の あはれを知るも 入る月の おぼろけならぬ 契りとぞ思ふ

 ある女性が「朧月夜に・・・」と呟きながら來たのに對して、そふぇをうけて「こんな月夜のあはれを知るあなたは、入る月とも深い契りがあつてのことでせうね」と問ひかけたのです。「入る月」は、もちろん忍び込んできた光源氏自軆のことです(20170226)。
 こんな歌を詠みながら、女性を抱きかかえて、部屋の中に入つて戸を閉めてしまひました。

「誰か助けて」
「私はなんでも許されてゐる立場ですから、人を讀んでも無駄です。靜かにしてください」

「(あっ!きつと源氏の君ね)」と女も気を許してしまひます。

 抱かれてしまひました。女性は惱みます。「いくら源氏の君でもいきなり抱かれるなんて」

光「お名前を聞かせてください。手紙を送ります。これで終はりではないでしょ?」

 うき軆世に やがて消えなば 尋ねても 草の原をば 問はじとや思ふ

 女性は歌で答へます。「このまま私が死んだら、あなたは名前を知らないからと言つて、草の原を分けて私を訪ねてくれないんですか?」

 この邊の返し方は絶妙ですね。現代人にはできない。

 そうこうしてゐるうちに、夜が明けて、人が起き始めました。みられてはまずいと、二人は扇を交換して別れました。つづく

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.soepark.jp/mot/mt/mt-tb.cgi/7777

コメントする

月別 アーカイブ

Powered by Movable Type 4.261

このブログ記事について

このページは、宝徳 健が2018年6月30日 08:27に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「戰國策 再98(皇紀弐千六百七十八年六月三十日 六)」です。

次のブログ記事は「貞観政要 再7(皇紀弐千六百七十八年六月三十日 七)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。