「とんでもない人間を推薦してくれたものよ」
魏徴が答えました。
「わたくしどもが人物を推薦するさいには、いつもその人間の長所と短所を詳しく申し上げてきました。凌敬についても、長所は学識があってよく諫言す ること、短所は生活が派手で金銭をむさぼることだと申し上げたはずです。近ごろ、かれは頼まれて碑文をつくったり、「漢書」の購読を教えたりして、人から 謝礼を受け取っています。私どもの申し上げた長所はまだ発揮されておりません。陛下は彼の長所には目を向けず、短所だけを見て、推薦した私どもを詐欺師よ ばわりされます。お言葉ですが、承服できません」
太宗「わかった」
【所感:宝徳(これは私見です)参考の本とはまったく違う解説です。】
人材に乏しい中小零細企業は、今いる人をうまく使っていくことが求められます。ここでよい例があります。三国志は魏、呉、蜀の三国が覇権を争った中国の
時代です。その中で、魏の曹操、蜀の劉備と比較して、迫力不足ですが、でも、彼は、とても人材活用が上手だったのです。彼の言葉は「その長ずる所を貴び、
その短なる所を忘る」です。
部下が自分の持っている長所を発揮できるように仕向け、短所は忘れてやった、というのです。まあ、忘れはしないのでしょうけど。短所は短所としてしっかり把握しているのですが、それに目くじらを立てずに咎めないということです。呉にはキラ星のように人材が育ちました。
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