貞観政要 再19(皇紀弐千六百七十八年八月二十六日 五)

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 初心を忘れた太宗に対する魏徴の諫言上申書の内容です(20100222)。
 「『礼記』に、『驕りは、長じさせてはならない。欲は、ほしいままにしてはならない。楽しみは極めてはならない。志は、満たそうとしてはならない』とあります。古の帝王はこの四か条をよく守って治積をあげましたし、世の賢者も深く戒めとしてきました。

 陛下も即位されたばかりの頃は、ひたすら政治に打ち込まれ、常に謙虚な姿勢で臣下の意見に耳を傾け、それでもまだ足りないのではないかと戒めておられました。ところが、近年、いささか傲慢になられ、功績の多きことを鼻にかけて古の帝王を見下し、ご自分が賢明であることを自負するあまり、当代の賢者をばかにしておられます。これは驕りの長じている証拠であります。また、なにか思い立って始めますと、途中で思いなおしておやめになることがなくなりました。しいて臣下の諫言に従ってとりやめたとしても、それは心から願ってのことではありません。これは欲をほしいままにしている証拠であります。

 さらに陛下は、楽しく遊びたいと、そればかりを願い、どこまで行っても満足することを知りません。それがすべて政治の妨げになっているわけではありませんが、少なくとも政治に専念しておられないことは事実でしょう。これは楽しみを極めようとしている証拠であります。また、国内は平穏で、四方の異民族も起伏しているのに、はるか異域にまで遠征軍を送って討伐しようとしています。これは志を満たそうとしている証拠であります。ふだん陛下になれ親しんでいる者は、陛下におもねってあえて口にしようとしません。また、陛下と疎遠な家臣は、ご威光に恐れをなして、これまたあえて諌めようとしません。これが積み重なっていきますと、いずれは陛下のご聖徳を損なうことになりましょう。

 これが有終の美を飾れない九つ目であります」

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このページは、宝徳 健が2018年8月26日 13:08に書いたブログ記事です。

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