源氏物語は、千年以上も讀み繼がれることを通して、少しずつ「本質」を明らかにしてゐます。
紫式部は、なんと、後の時代の讀者を巻き込み、引きずり込んで「源氏物語」を完成させるプログラムを、この源氏物語に組み込んでゐたのです。そして、そのプログラムはなんと、千年の年月を經てもまだ完成していないのです。なんと素敵な。ほんの少しでいいので、私もそこに參加したい。
源氏物語ビッグバンは、貴族の時代から武士の時代、そして、民主主義の時代に移っても、讀まれ續づけました。紫式部が生きた京都だけではなく、全國津々浦々で。そして世界で。
私は最初、譯がわかりませんでした。源氏物語を讀んでも、それでも諦めずに讀んでゐると、どんどん惹き込まれていくのです。
さて、つづきです。
こんな時になつても、やはり光源氏にとつて大切なのは女性關係です。
先日、花散里(第十一帖)の姉妹に逢つたら、その後しきりに便りを寄こします。
「このまま會はないといふのはまずいなあ」
光源氏は夜が更けてから出かけました。ちなみに、妹は桐壺院の妃の一人花散里です。院の没後、光源氏が面倒を見てゐます。
姉「まあ、人並みに扱つてくださつてゐたのですね」
と、皮肉を言ひながら大喜びです。
妹の花散里と月の光の挿す中で夜を過ごしました。明け方を待つて二条院に戻りました。つづく。
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