源氏物語 91(皇紀弐千六百七十八年十二月二十八日)

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 青表紙本と河内本の違ひをみてゐます。青表紙本で前囘お示しした桐壺のところの表現が、河内本ではどうなつてゐるか。違ひは、太字とアンダーラインのところです。

「繪に描ける楊貴妃の容貌(かたち)は、いみじき(腕の良い)繪師と雖(いへど)も、筆限りありければ、いと匂日少なし。太液(たいえき)の芙蓉、未央(びあう)の柳も、げに通ひたりし(楊貴妃の)容貌を、唐(
から)のいたる装ひは麗はしう。清(けう)らにこそありけめ、(桐壺の更衣)懐かしう臈(らう)たげなりし有様(ありさま)は、女郎花(おみなえし)の風に靡(たなび)きたるよりもなよび、撫子の露に濡れたるよりも臈(らう)たく、懐かしかりし容貌(かたち)、氣配を思(おぼ)し出づるに、花鳥(はなとり)の色にも音(ね)にも比(よそ)ふべき方ぞなき。

「今は亡き更衣(桐壺の更衣)は、女郎花よりもなよなよしていて、撫子よりもいじらしかった」です。これは面白くないですね~。青表紙本よりも詳しいし、わかりやすいのですが、くどいのです。待つ芭蕉も「言ひ仰せて何かある」です。「それを言つたからとしてどうなんだ」です。つづく

 では、本文のつづきです。
 実は、明石入道は、遠い地に住みながら娘 明石の君を最高位の男性に嫁がせようと狂信的に願い、それ以外の道を捨ててゐるぐたらいの人間です。そこに、光源氏が須磨に來てゐます。さ~あ、千載一遇のチャンス。

 最初、光源氏の部下が明石の君に手紙を出したのですが、歯牙にもかけません。

 でも、明石の入道の妻は

「とんでもない。聞けば須磨に流されたのも身分の髙い女の人といろいろあつたからでせう。そんな人に娘をやるわけはいきません」

 娘 明石の君は・・・・。明石の入道の育て方もあって、それはそれは鄙にもまれな良い女。でも

「やっぱり無理よ」と戸惑ふばかり。

 さて、少し話が變はります。なんとなんと、須磨に三位(さんみ)中将(昔の頭中将)が見舞に來てくれたのです。つづく

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このページは、宝徳 健が2018年12月29日 05:38に書いたブログ記事です。

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