市場の番人がやつてきました。「おい、ちょっと來い」
仲賈人は総督の家に連れていかれました。簡單な事情徴収のすえなんと絞首刑!たちまち執行人がやつてきて、絞首臺へ。
だが、いよいよ刑の執行が決まった瞬間に現物人の群衆の中から、
「待ってください。その男を殺したのは私です」
と料理人。そんなことあるの?と私たちは思ひますが、古代イスラムの世界では、人は欺けても神の裁きは逃れられません。
料理人が事情を述べてゐると、
「待ってください。その男を殺したのは私です」
と、醫者。次は仕立て屋。と次々。総督は困り果てます。
「一番けしからんのは魚の骨じゃが、これを罰するわけにはいかん。お前たちはみんなそれぞれに人殺しをごまかそうとしたのだから、連帯責任じゃ。ただし、私に面白い話を聞かせてくれたら許してやろう」
なんじゃい、いつたいこれは(笑)。まあ、これが千夜一夜物語の面白さです。この連續する面白さのために王樣は、シャーラザッドを殺さなかったのでせう。
この話の本番はここからなのです(笑)。 つづく
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