「負うた子に教えられて浅瀬を渡る」
本来の意味は「小さな子供は一人で川を渡れないが、背中に負ぶった子は上から浅瀬と淵をよく見分けて教えることができる。その子に教えられて深みにはまらずに済むこともある」
だそうな。
まあ、偉そうにせずに人の言うことも聞けという意味。そういう点でいうと、息子がいま、バンバン私に(良い意味での)喧嘩を売ってきます(笑)。
忘れないうちにほんの少しだけ書いておきます(ここに書くといつでも読み返せるので)。
■ピーターの法則
●人は自己能力の限界まで出世する
●無能な人はそのポジションに留まり、有能な人は限界まで出世するがそのポジションで無能化する
●組織の中では、まだ限界に達していない人たちのよって進められて機能していく。(息子からの喧嘩のこの後は略)
なるほどね。官僚と昔の軍と一緒ですね。そして優秀な人間(俗にいう)ほど、安定を求めるので自分のポジションが安定したら組織を停滞させます。
大日本帝国海軍は、海軍大学校の成績でその後の地位がすべてきまりました。これをハンモックナンバーと言います。軍隊なのに、戰爭で勝てるかどうかよりも昔の成績で決まる!!!
西郷隆盛もこう言っています。「國に功労がある人には禄を与えよ。功労があるからと言って地位を与えてはならない。功労があるからと言って見識のないものに地位を与えるということは国家崩壊のもととなる」
会社でも同じですね。出光興産㈱昭和三十三年組は、綺羅星の如くの社員ばかりでした。ある日、出光佐三店主が彼らと懇談したときに、叫びました。「お前らは出光の癌だ。このまま放っておくと、将来必ず出光はおかしくなる」と。そして、店主室教育が始まりました。
出光佐三翁も松下幸之助翁も「優秀な人材は組織を破戒する(こういう直接的な表現かどうかは別にして)」と仰っています。宇佐美の親父も言っていました。いつも私に。「宝徳なあ、凡人をして天才の仕事をさせる。それが経営者だ」と。確かに、例えばカリスマのような部長さんがいて、その人がどんどん上に立つと最終的に会社はおかしくなります。
なぜか。
(俗にいう)優秀な人材には「癖」があります。 企業に必要なことはたくさんの人間が「将来発展する型」を身につけそれを破って、「みんなで新しい型」を創造していくこと。そして、それを、経営者やリーダーが経営を俯瞰しリーディングしていくことが大切です(その後は俯瞰していく幹部の育成。ここで理念や経営目的やコンセプトなどが初めて生きてくる)。
(俗にいう)優秀な人材が組織に残ってしまうと、下の者はその人材の「癖」をまねようとします。そして、その人材が辞めたときに、組織には、その人材の「癖」しか残りません。そして、「誰が正しいかではなく、なにが正しいか」という組織原則よりも「何が正しいかではなく誰が正しいか」となり、組織が崩壊していきます。
(俗にいう)優秀な人間は外に出なければなりません。江副さんは正解でしたね。うまく(俗にいう)おだてて優秀な人材をリクルートから独立させていき組織を維持しました(リクルートは本当に優秀な人材がたくさんいますが、徳も同時に備えた人物をあまりみたことがない。みたことがない)。
中小零細企業とお付き合いを始めてもうすぐ18年です。永く経営をやっているとビジネスモデルが少しずつ傷んできます。また、時代も進化し、取り入れた方がよいこともたくさん出てきます。つまり、ビジネスモデルを常にリニューアルしておくことは企業百年の計の潜在的リスクなのです。
ビジネスモデルは経営資源ごとに存在します。
ヒト:組織ビジネスモデル
モノ:流通ビジネスモデル
カネ:キャッシュフロービジネスモデル
情報:インテリジェンスビジネスモデル
その中で最も恐ろしいのが、「組織のビジネスモデル」なのです。息子はきっとそれを言いたいのですね。でも、子供に抜かれる親というのはうれしいものです。 をはり(この分野の話は、私の集大成になると思うので今後もまた時々書きます)。
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