四辻善成が確立したモデルのふたつめです。モデルとはつまり、源氏物語の中の話の現実にあったことです。
その二
第五帖 若紫です。源氏物語にはたくさんの女性が出てきますが、軸になるのは 桐壺(光源氏の母) と 藤壺の二人と言っても過言ではありません。若紫はその藤壺の姪です。小さい頃から光源氏が引き取って育てそして、自分の妻にします。
若紫の帖で、光源氏が「わらわやみ=マラリア」に罹ったとき、「北山」というところに出向きます。都の北の方角にあるやあ 鞍馬山です。毘沙門天が祀られています。義経が修行したところですね。
さて、本文のつづきです。
六条御息所(のみやすどころ)はやんごとなき方です。光源氏との恋を振り切って、娘と共に伊勢に行った人です。娘は伊勢神宮の斎宮です。
でも、帝が変われば斎宮の職も解けます。母娘ともども都に帰ってきました。
さて、かつては特上の恋人同士で会った二人ですが、情熱のように恋を燃やすには年を取ってしまいました。
なんといっても、かつての東宮の妻、つまり皇太子妃です。気軽に「またお付き合いしようか」などと言うことなどできません。それよりも光源氏は、娘の斎宮の方が気がかりです。母親に似て充分美しいだろうし、御息所の娘なら嗜みが悪いはずもありません。
そうこうするうちに御息所は、重い病に陥り、さまざまな罪過をおもんばかって、尼になってしまいました。
光源氏びっくり!!!すぐに訪ねました。
六「どうか娘のことをお願いします。ろくな後見もない立場ですから」
光「おっしゃられるまでもなくそのつもりでしたが、今、あらためて心に強く聞きとどめました。心配ご無用です」
六「娘には気苦労をさせたくありません。どうか『あちらのこと』から離れてご後見くださいね」
光源氏は六条御息所にくぎをさされてしまいました。
息も絶え絶えの六条御息所は、光源氏に帰宅を促しました。それから間もなく六条御息所は息を引き取りました。つづく
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