成長の原理3(皇紀弐千六百八十年 令和弐年四月二十一日 弐)

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3.自己
 社長の心得もまさに耳が痛いところである。昨年の私は、収益の不安定さから、あれこれ条件適応の原理に当てはまらないものに手を出し、精神的に疲弊し、 そして忙しさにかまけて能力開発を怠った。もう二度と平成16年には戻らない決意である。→(今:何回そう思ているのでしょうね。愚かな自分です)。

5つの成長の原理
 かつての出光興産㈱は素晴らしい企業であった(今をどうこう言っているのではない。あくまでも私の経験から)。新入社員のとき、毎日会社に行くのが楽し くて仕方がなかった。残業代もない、出勤簿もない。そのなものがあったら邪魔なのに他社はなぜあるのだろうかと不思議だった。権限も委譲されており仕事の スピードがすさまじく速かった。著者が言うデタラメ度が高く、インターフェイスが充実していた。私の前の時代など、各出張所単位で財務諸表を作成し、銀行 借り入れをしていた。ミスもあるだろうがそれを背負う若手社員も成長していくことが仕事となっていた。日本初、世界初が連日のように新聞をにぎわせた。


 私は入社前、「ペルシャ湾上の日章丸」を読んだ。こんなことがほんとうに、いち企業で可能なのであろうかと涙が止まらなかったことを昨日のことの ように覚えている。徳山製油所建設もそうである。3年以上かかる建設期間がわずか10ヶ月で完成に至る人の力のすさまじさ。


 現場のデタラメ度は、往々にして本社の官僚主義者から見れば面白くない。徐々に現場の権限を吸い上げ中央集権国家にしていった頃からおかしくなった。


 私はコンサル現場で4年に一度くらいすごい経験をする。中小零細企業というものは、経営資源の他に、自らの成長思考の低さから現在の売上に甘んじ ているケースが非常に多い。新しいことをしなくとも、十分に収益を確保できるのである。それに気づいた経営者は、私の予想を超えて、4倍、5倍と事業を成 長させていく。このときの感動を一度味わってしまうと、もう通常の成長では満足できなくなってしまう。そして、これらの企業はデタラメ度が高くインター フェイスが充実している。


 宇佐美も、最初担当したときには頭にきた。会議の時間が聞く人によってまちまちなのである。なんといいかげんな会社なのかと思ったが、考え直して みると、このいいかげんな会社が日本で一番生産性が高い石油販売事業者なのだ。情報の流通も驚くほど速い。そして現場がすぐに条件適応の原理や分離・再結 合の原理を実行しだすのである。IQは決して高いとはいえないがEQは非常に高い。まさに史郎氏が構築した成長の原理の「原理原則」が現場に自然のうちに 浸透しているのであろう。担当した際に、かつての出光興産㈱を思い出しうらやましく思ったものだ。


 史郎氏は「素人をして天才の仕事をさせよ」と言っていた。それも著者の記述と当てはまる。


 宇佐美の現場を見ると面白い。例えば、非常に小さなSSがあったとする。他の業者であれば、狭いからとか需要がないからと「出来ないことを先に考えて」 しまう。宇佐美は、「この現場でどう立ち上げるか」という「出来ることを考える」この少しの差が、大きな結果の差となって現れる。


 満足することもない。ある日、史郎氏に「今までつくったSSでどれが一番好きですか?」と聞いたことがあった。答えは「次に作るSS」であった。 成長の限界の原理で述べられているように、成長に満足せず、次のビジネスモデルを条件適応の原理にあてはめようとしている。



 並列進行の原理でもそうである。一見ガソリンスタンド単体のようであるが、当初誰も目をつけず、元売までもが反対した軽油をガソリンと並行させ た。そして、他の燃料油以外の商品も他社から見ると信じられないくらい高い数値をデタラメ度とインターフェイスで次々と立ち上げ、圧倒的な生産性とコスト 競争力を生んでいる。


 今、宇佐美は年商4000億円(推定:当時)である。大会社ではあるが大企業ではない。史郎氏没後もこの成長を思考する企業形態を望んでやまない。

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このページは、宝徳 健が2020年4月21日 10:52に書いたブログ記事です。

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