1.はじめに
企業経営に携わるにあたり、常々「誰が正しいかではなく、何が正しいか」が大切ではないかと感じ続けてきた。しかしながら、この何が正しいかという「原
理原則」がなかなか見つからず、往々にして人は「誰が正しいか」に頼ってしまう傾向にある。
「成長の原理」はこの「原理原則」に近いものがあるのではないかと感じた。これからしばらくの私は、「成長の原理」をバイブルとして、自分の事業との検 証の時期を送るであろう。この「原理原則」らしきものに、自分の事業・自分自身・社員・クライアント等をあてはめ、この原理原則に沿うように物事を進めて いくように最大限の努力を払う。そして一日も早く、自分なりの成長の原理(つまり原理原則)を確立し、著者に恩返しをしたい。
私はこれまでの人生の中で、ふたりの素晴らしい師に出会っている。一人は直接の出会 いはないが、創業された会社に従事しその理念を体感した。故出光 佐三翁である。恐らく古今東西、最高の企業指導者である。次には、2年間取引先という関 係を超えて師事した、宇佐美 史郎氏である。残念ながら平成17年7月22日にお亡くなりになられた。氏は、昭和25年にガソリンスタンド業に従事し始め て50年超、実に400箇所を展開するにいたった。石油業界のねじれ現象に嫌気がさしていた私は、氏に出会ったときに心の中で叫んだ。「石油業界唯一の真 実がここにいた!」「事業とはここまで人間を高めるものなのか。人間としてここまで高まれば怖いことはないのではないだろうか」。
成長の原理を読みながら、過去・現在とむさぼるように読んでいる佐三翁の書物、社員のように愛してくれた史郎氏の生き方や言葉などが、重複してき た。私は、できもしないかもしれないが、ふたりのような人生に一歩でも近づきたくて独立した。独立してみて、わかることとできることの違いを身にしみて感 じている。こんな未熟な経営者が、まがりなりにもコンサルタントとして一応世の中に通用しているのだからおかしなものだ。しかし、死ぬ瞬間までに、ふたり の域に少しでも近づきたい。これが、私の人生目標である。そこを軸にこの所感で思いを述べたい。
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