任務分析8(皇紀弐千六百八十二年 令和四年一月五日 四)

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 士魂商才第百二号の記事です。

 

 自衛隊の鉄則に、「成果を上げるためには徹底して「目的」にこだわる」があります。

 間違えてしまうと彼らは死ぬ危険にさらされるのです。そして、次には、「主導権」です。



  

「主導権」の掌握が勝利の決め手となる

 孫子の兵法に「人に致して人に致されず」という言葉があります。「他人を操れ、決して他人に操られてはならない」ということでしょう。

 

 計略や戦闘においては、「主導権の掌握」が勝利の決め手となります。人より先に攻撃することで、主導権は得られます。一度掌握した主導権は絶対に手放してはならいのです。

 

不安心理が出てくると部隊が総崩れする

 日露戦争で活躍した秋山好古大将は、初戦での勝利に徹底してこだわりました。最初に負けると「負けグセ」がつくことを嫌っていました。我が國の騎兵隊の生みの親であり、連合艦隊の主任参謀 秋山真之の兄です。

 

 企業の組織においても、もっともこわいのは、組織に負けグセがつくことです。リーダーの使命は、組織において負けグセをつけさせない事です。常に組織を勝利に導くことです。一旦、退却して態勢を立て直そうにも、退却した時点で、心理的に受け身になり、不安心理が頭をもたげます。そうすると部隊が総崩れするリスクを背負います。

 

 秋山大将の陸軍大学時代の教官であったメッケル少佐も「出鼻で勝負を決める」と説いています。

 

 これに対して、ロシアの指揮官であったクロパトキンは、常に、有利な態勢、条件で戦おうとするために、安直に退却していました。

 旅順の永久要塞の攻撃に成功した乃木将軍が率いる第三軍の影におびえて、退却したこともありました。

 

 防衛大学では、いろいろな戦略家の思想を問われます。イタリアの軍事学者であるジュリオ・ドゥーエは、「制空」という著書で、「敵の戦闘機が飛び立つ前にその基地を叩け」と主張していました。

 

 ところが、我が國の自衛隊は専守防衛です。ポジティブリスト(これだけはやってよい)です。早くネガティブリスト(國際法を守れば、あとは、何をやってもいい)に切り替えないと、彼らの命が守れません。

 

メンバーが主導的に動く組織は、確実に結果を残す

 企業活動でも、新製品の発売で新たな顧客を獲得し、市場シェアを一気に独占すれば、先行者利益を得ることができます。そのためには受け身に立たず、こちらから攻めることが重要です。仮に守勢に回っても、早い段階で逆襲に転じて主導権を奪回することです。こちらに主導権がないときは、相手が主導権を握っているからじり貧になります。

 

 喧嘩でもそうですね。喧嘩の強い奴は、最初の寄りが早く、最初に一撃が強いのです(殴り合いだけが喧嘩ではない。ビジネスもそうです)。

 

 主導権の原則は、対外的な面だけではなく、内側に目を点じて、チーム運営にも当てはまります。メンバーが主導的に動く組織は、確実に結果を残すことが出来ます。

 

 そのためには、メンバーに出来るだけ権限を委譲して自主積極性を伸ばしてあげることです。「自分が主役だ」と思わせます。

 

 できるリーダーとは、金銭的なインセンティブだけではなく、メンバーの人間的な側面、仕事を通じての成長に気を配ります。そのためには、これは見込みがあるというメンバーには、自主裁量の余地を与えて、背中を押すことが大切です。

 

 松下幸之助翁は、「やってみなはれ」と部下の背中を押し続けた人です。初めての仕事だからと断ろうとする部下を「誰でも最初にやるときは初めてやで。だから楽しいんじゃないか。思い切ってやってみたらええがな。わしが後ろで見てるからな」とおっしゃいました。かつても出光興産株式会社もそういう風潮がありました。

 

 こういう企業が少なくなりましたね。だから東芝のようなことが起こります。

当事者意識を与えて、みんなの能力を引き出す

 バイトさんや派遣社員さんにこういうことを言ってませんか?「そこのバイトさん(派遣社員さん)、こっちへ来て」。言った瞬間にその人たちのモチベーションはだだ下がりです。言われたことしかしなくなるでしょう。

 

 自衛隊では「隊員を掌握せよ。そのためには、顔と名前を覚えろ」「本属の隊員よりも、配属された支援部隊、応援部隊の隊員にこそ気を配れ」と言われます。

 

 いかにして当事者意識を与えるかが、リーダーの腕の見せ所です。上司の指示を待つのではなく、攻めの姿勢で発想し、会社のために働くことを意識してください。

 

英語では、当事者意識をオーナーシップと言います。

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このページは、宝徳 健が2022年1月 5日 20:36に書いたブログ記事です。

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