M&AをしているとCOC条項という言葉が出てきます。これはチェンジオブコントロール(Change of Control Clause)の略です。
M&Aなどを理由として契約の一方の当事者に支配権(Control)の変更(Change)、つまり、経営権の移動が生じた場合、契約内容に何らかの制限がかかったり、他方の当事者によって契約を解除することが出来る規定です。資本拘束条項とも言います。
法務DD(デューデリジェンス)際に発覚して問題視されることが多く、その内容は様々で、緩やかなものでは事前または事後の通知義務のみにとどめているものもあります。
例としては次の通りです
(解除)
〇〇条 甲は、乙が合併した場合または乙の株主が50%を超えて変動した場合はなんら催告をすることな本契約を解除することが出来る。
この条項によって、仕入先や販売先に契約を解除されると、その契約が重要で代替性に乏しいものであるほどM&A後、対象会社の事業の根幹を揺るがし、場合によっては事業を継続することが困難な場合もあります。
買収防衛策として利用されることもありますが、友好的M&Aであっても、重要な契約にこの条項が存在する場合、買手は契約の相手方から確認書を受け取るなど、事前の同意を得る対処を行う必要があります。
我が國においては、新しい株主(経営者)が問題のある会社や人物だったり、信用がない会社だったりするなど、よほどのことがない限り、COC条項が発動され、契約が解除になることは少ないのですが注意が必要です。
COC条項に基づく承諾をわざわざ取りに行ったことで、かえって足元を見られて不利な条件を押し付けられる可能性もあるので、そのまま何事もなかったように取引を継続するケースもあります。
ただし、COC条項が規定されているのが、当たら比五買手の競合である場合など、直接の利害関係があれば、慎重に対応する必要があります。
契約の相手方の状況をよく分析し、どのようにコンタクトをするか、そもそもコンタクトをすべきかを含めて検討する必要があります。
なお、M&AにおけるDDは、以下ものがあります。絶対に必要なものではないので、必要に応じてやってください。(それぞれのDDについては後日書きます)
①事業DD
②財務DD
③税務DD
④法務DD
⑤人事DD
⑥ITDD
⑦環境DD
DDはその後のPMI(ポスト・マネジャー・インテグレイション:統合後の合意)時の計画にも必要になりものです。
コメントする