久しぶりに宇佐美の親父さんの話(皇紀弐千六百八十二年 令和四年十月十日)

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 士魂商才第百十三号(令和四年十月号)の記事です。

 前にも書きました。新しい読者の方もいらっしゃるので。

 

 昔、宇佐美は、毎月第一だったっけなあ第二だったけなあ、土曜日に専務会をやっていました。宇佐美の組織は、9社の各地宇佐美がありました。「北海道宇佐美」「東北宇佐美」「関東宇佐美」「東京宇佐美」「宇佐美鉱油(事実上の本社)」「北陸宇佐美」「三陽宇佐美」「関西宇佐美」「九州宇佐美」がありました。その上に「有限会社宇佐美」があったのです。軽油税(32.1/ℓだが消費税とのダブル課税)の還付を受けるために有限会社宇佐美がありました。(宇佐美クラスになると当時でも年間20億円ぐらい還付があった。それと相続対策の会社)。各地の宇佐美はすべて宇佐美史郎さん(親父さん)が社長でした。

 だから、9社の専務がいます。土曜日に集って、一杯やって(親父さんは飲まないからいかない)、日曜日にゴルフをするというパターンかな。

 

 でも、あるとき、私が金曜日に宇佐美本社に行くと、親父さんがニコニコしています。ありえないほどめずらしく(いつもは二人の時は宝徳!なのに)、「今日はですね、専務さんのみなさんが今日から来るんですよ」と仰いました。私の頭の中は「????」だらけです。「なんでですか?」と問うと親父さんは答えません。しばらくすると親父さんが「あっ、しまった。今日はJOMOの会合がある日だった!」と出かけてしまうではないですか。「宝徳、あと頼むぞ!」って。何を頼むのよ~(笑)。

 

 次々と専務さんたちが来ます。親父さんがいないのにみんな気づきます。専務さんたちは今日(金曜日)、宇佐美本社に入る必要がないのです。

 

「宝徳さん、クソ親父はどこにいったんだ!」と私に言います。「(知らんわ)」と思いながらも嘘をつくわけにはいかないので本当のことを言うとみなさん、もう親父さんのことをボロクソに言います。ただ、一日でも早く親父さんが専務の皆さんと会いたかっただけの理由で、一日前から各専務さんを呼び出したのです(笑)。

 

 では、もう飯を食いに行こうということになり、私も連れていかれました(いつもは、親父さんか巽女史(経理の大番頭)と食事をするする)。飯を食っている間「あの時はこうだった」とか「あれも頭にくる」とか言っています。私が「みなさん、親父さんのこと嫌いなの?」と聞いたら皆さん、口をそろえて「はっ!!!??? 嫌いなわけないだろう!!!」と笑顔で言います。これいいなあって思いました。

 

 親父さんは、社員に対する愛情あふれるどころではありません。

 

 例えば、東北宇佐美のある所長の奥様が入院しました。その情報をキャッチする親父さんもすごいですが(当時の社員数3,000人)、その時、親父さんは給料袋にだまって1万円多く入れました。その所長さんから、親父さんに電話がありました。「給料が1万円多いのですが」。親父さんは「知らん」と言って電話を切りました。このやり取りは隣にいた私が知っています。

 

 後から聞いた話ですが、その所長さんは、涙を流しながら感謝していたそうです。

 

 また、ある専務さんが「癌」になりました。手術の日が来ました。約束していない親父さんが手術室に運ばれている専務さんのところに突然現れニコッと笑ってくれたそうです。専務さんは思いました「ああ、親父が助けに来てくれた」と。

 

 親父さんは、あんな巨大な会社になっていたのに、経営者と事業者の線引きをきちんとしていました。すごいなあ。

 

 在宅ワークなどが主流なってきました。我が社もそうしています。おそらく働き方は大きく変わるでしょう。でも、やっぱり企業は「人」の(真の厳しさをもった)愛情ではないでしょうか? それが不易をもたらします。

 

 もし、インターネットを凌駕する技術が開発されたとき、今までのITの流行はどうするのだろうか? 昔のザウルスのように(爆笑)。

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このページは、宝徳 健が2022年10月10日 16:13に書いたブログ記事です。

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