【第百十四号:「原因」と「結果】】
弊社月刊誌「士魂商才(しこんしょうさい)」第百十四号(令和四年十一月号)です。 実務編のタイトルは「原因」と「結果」です。
平成二十一年(2009 年)八月の第 4 四十五回衆議院議員選挙民主党が政権を握りました。 まあ、自民党も情けなさすぎたのですが、私は、自分のブログに「国民はここまで愚かか」 と書きました。
中川昭一氏が「あの政策を本当に実行したら國が潰れてしまう」と TV のインタビュー で言ったのを覚えています。まさに、私もそう思いました。なぜそう思ったのか?民主党 の政策は(現在も含めて)、「結果」にターゲットを当てて改善しようとするものばかり だからです。「官僚主導の政治」「國民の給料が 30 年間上がっていない(当時は 20 年 間)」など、他にもあれが悪いだのこれが悪いだの。改善案で耳に心地よいことを國民に 言うので、國民も(主権者でありながら)騙されます。左翼リベラルの常套手段です。彼 らの始祖エンゲルスの資本論と同じです。結果は一目瞭然です。「年金で老後が暮らせる か」と言う議論もそうです。ナンセンス極まりない。私は、年金をはじめ細かい制度など は熟知していません。でも、原理原則は理解しています。例えば年金(保険)は「40 年で 支払ったものを 20 年でもらう」ものです。だから、「結果として」今もらっている年金 が少ないことを議論してもどうしようもありません。「原因として」40 年で國民が豊富に 年金を支払えるだけの「國富」を作っていなかったからです。
それが先月号(専門編)までで解説した「國富と経営」です。プラスしていまだに増税 ありきの「PB(財務省型プライマリーバランス:基礎的財政収支)」をやろうとしていま す。PB をやるなと言っているのではありません。今の財務省型 PB では何年かかっても PB は不可能です。その結果が今です。國民を苦しめるのが政府や官僚かい。財界もマスコミ も國民も全く騒ぎません。1,000 数百兆円の政府債務を増税で返そうと言うのは、國民に 20 年以上タダ働きをしろと言っているのと一緒です。
ゼロサム社会(一定の枠の中で暮らさなければならない社会:誰かが得をしたら誰かが 損をする)では、人が頑張って働いて高い収入を得たとします。人を会社に置き換えても らってもいいです。すると、一方で、低所得層が増えます。この結果にターゲットを当て るのではなく、國富(具体的には名目 GDP)の成長と言う「原因」にターゲットを当てな ければなりません。それをやったのが米国と支那共産党です。我が國がもたもたしている 間に彼らは3倍〜4倍の國富にしました。習近平というのは大した政治家です。14 億人の 民を統べています。大嫌いですが、それが世界なんです。恐ろしくて仕方がありません。
4
NEXT20 SOFA 「原因」と「結果」
我國でも、この「原因」にターゲットを当てたのが、池田勇人元総理大臣です。池田さ んが総理になっていなかったら、我が國は、敗戦革命が起きて共産主義になっていたかも しれません(天皇陛下が命をお掛けになって阻止されていたかと思いますが)。あの所得 倍増計画と國民に心地が良い言葉を使いながら、國富と言う「原因」にターゲットを当て たのはさすがです。
人は、毎月のように上がる給料が手に入るとくだらない共産主義のような思想に走るこ とはありません。子供もお金がないから産まないのです。吸い上げた税金等で補助金を配 ったりしても少子化は無くなりません。まさに「興産無くして恒心なし(稼がないといく ら良い考えを持っていてもだめ)」です。
「政府は何もしなくても、放っておけば、民が自由に振る舞っているようで実は意識 しないで勝手に儲けてくれる」というのがアダム・スミスの「神の手」です。その民が勝 手に創造する「市場」という場にたまに「市場の失敗」というものが起こります。それを 修正するのが政府の役割です。ところが今の日本政府と財務省とメディアは、自分達が 「市場の失敗」を作り出していることがわかっていません。それが「原因」で國富を 30 年間も伸ばしていない「結果」となっています。國富が伸びていないのではありません。 國富を伸ばしていないという「人災」なのです。結果だけ論じて人が働いても報われない 社会を作ることが政治家と官僚とメディアの仕事なのでしょうか?先人たちに恥ずかしい。
このままでは、國を守るための防衛予算も小さくなる國富の中で比率だけ追って行って も予算額が減るばかりです。充実しません。大切なのは、明治の男たちがやった「富國強 兵」なんです。「強兵」という「結果」を生み出すために「富国」という「原因」にター ゲットを当てる。江戸政府は軍事政権でした。その意志を引き継いでいる明治政府はまと もでした。今の、平和ボケ日本とは違います。
今月号の専門編では、それを証明するために、トランプの経済政策と昭和恐慌の研究を 掲載の比較をします。
専門編のテーマは「本音」と「建前」です。かつての日本人は、「本音」と「建前」が とても上手だったのですが、PC(ポリティカル・コレクトネス:政治的妥当性 逆らうこと を許さない左翼リベラルの少数派擁護を歌いながらの全体主義政策)に潰されようとして います。左翼リベラルは自分達だけの特権主義かのような「表現の自由」を「嘘の自由」 に変えながら。今月号もお楽しみください。
感謝合掌
皇紀弐千六百八十二年 令和四年十月吉日
株式会社 経営戦略室
代表取締役 寳德 健
コメントする