今日から七十二候は、寒露 末候 蟋蟀在戸(しっそくこにあり)です。キリギリスが家の中で鳴き始める頃です。
暦に従って生きる農民の一年を詠んだ歌の一節です。「七月は野にあり、八月は軒下にあり、九月は小口にあり、十月になると我がと床の中に入り込む」。寒さが増してくるに従って、入り込むコオロギの修正です。
西行法師も歌を詠んでいます。
きりぎりす 夜寒の秋の なるままに よわるか声の とほざかりゆく
素敵な歌だなあ。
昔はコオロギのことをキリギリスを読んでひたので、この蟋蟀はコオロギやなく虫の総称です。
子供の頃の家は木造だったので、家中、すきまだらけ笑笑。おやつをこぼそうものなら、すぐにアリの大行列が家にできました。
コオロギもよく家に入ってきたなあ。しまってある服とかをかじるんですよね。とにかく虫がとても身近にいました。
歌もよく歌いました。「虫の声」。声としていところが日本人らしいです。これほんとうは「蟲のこゑ」なんだそうです。情緒がありますよね。鈴虫の声は綺麗ですねえ。「リンリン リンリン」って。飼って声を聞くのが楽しみでした。
- あれ松蟲が鳴いてゐる。
ちんちろちんちろ ちんちろりん。
あれ鈴蟲出した。
りんりんりんりん りいんりん。
あきの夜長を鳴き通す
あゝおもしろい蟲のこゑ。 - きりきりきりきり きりぎりす。
がちやがちやがちやがちや 轡虫(つわむし)。
あとから馬おひおひついて
ちよんちよんちよんちよん すいつちよん。
秋の夜長を鳴き通す
あゝおもしろい蟲のこゑ。
今の子供知っているのかなあ。
最近、聴く機会が少なくなりました。残念だなあ。
昔、イギリス人が蟲のこゑのことを「ノイズ(雑音)だ」と言いました。なんだか悲しくなりました。
世界的数学者の 藤原正彦さんが言っています。「世界の優秀な数学者は一人の例外もなく、子供の頃に情緒がある土地に住んでいる」と。日本はまだまだ少しいけば東京以外は田舎だから大丈夫ですね。
【拙首です】
リンリンと こゑの鈴虫 秋の夜に 一緒に過ごす うつくしき時
コメントする