あるとき、親父さんと、宇佐美のスタンドのオープン行きました。まあ、このオープンの時は大変です。どんな陳列にしてようと、どんなベンダー配置にしていようと親父が気に食わなかったら、全部、入れ替えさせられるのです。それも店長にいちいち指導しながら。うるさいうるさい。流石にこの時は、私は呼ばれず、黙ってみています。
そして、オープン1時間ぐらい前に落ち着きます(周りは)。親父さんは、それからもいろいろスタンドの中をみてまわります。
あるとき、「宝徳、白いペンをもってこい」。こう言うときに「えっ、なんでですか?」とか聞こうものなら大変なことになります。親父さんの頭の中にある改善イメージが崩れるので、ものすごく機嫌が悪くなります。
一本だけ借りると「誰が1本といった!」とまた怒るので3本ぐらい借りてきます。さあ、今日は、何を学べるのかなと、私の心は
ワクワク♫ウキウキ♫
消化器のところに連れて行かれました。ガソリンスタンドは消防法で、その敷地面積によって置かなければならない消化器の数が決まっていました(今は、知らんけど)。
親「今から俺が言う数字を書け」
宝「はい」
親「1」
親「2」
親「3」
と、言われた通りに消化器の赤い胴体の上の部分に書いていきました。
親「5」
宝「えっ? 4は?」
親「いいから書け!!!」
宝「は・はい」
親「6」
親「7」
親「9」
親「11」
・・・・・
いくつまで書いたか覚えていません。
宝「なんで数字を飛ばしたのですか?」
親「お前にたいなバカにはオープンが終わったらゆっくり教えてやる」
宇佐美のスタンドはトラックステーションなので広いのです。当然、消化器を置く本数も増えてきます。
オープンが終わって一緒に帰るときに
親「最初は置いていましたが、盗まれたんです、と消防に言うんだ」。
これがいいかどうかは皆さんのご判断にお任せします。でも、私は、おかしくておかしくて仕方がありませんでした。これはコスト削減ではありません。節約術です。
でも、後で、親父さんには「考えろ、考えろ、宝徳、考えろ」と言われていたことを思い出しました。「そんなんだよな」って、一人納得した親父さんファンの寳德でした。親父さんの節約術はまた書きますね。数え切れないぐらいあるから😆。
スタンドのオープンには、元売、金融機関、町の世話役、消防、警察、建設会社、計量器メーカー、主な取引先もいらっしゃいます。セレモニーが終わった後は、軽い、食事が出ます。
食事会に先立って親父が挨拶します。必ず言う言葉が
「 元売のみなさま、金融機関のみなさま、◯◯(町の世話役)さま、消防のみなさま、警察のみなさま、建設会社のみなさま、計量器メーカーのみなさま、◯◯(主な取引先)さま、みなさんのご協力により、また夢がひとつかないました。その夢で働く店長とスタッフ達は後ほどご紹介します。みなさま本当にありがとうございます」
です。ものすごい嬉しそうな顔で。「そ〜か〜、スタンドを作ると言うことは、ひとつひとつのスタンド自身が親父の夢なんだ〜。その夢を関係者と共有し、そして働く人たちの夢にしてあげたいんだ」
私は、また泣きそうになります。消化器のことなんてどうでもいいやって笑。
親父さん、なつかしいね。
【拙首です」
なぜなんだ なぜにこの人は これほどに 普通のことを 感動の極みに
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