石油業界の歪み⑮:自由化2(皇紀弐千六百八十四五年 令和七年(2025年)二月十一日)2

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  石油業界の自由化の前にもう一つの悪しき風習です。「押し込み」というのがありました。新聞協会でいうところの「押し紙」です。石油業界では、燃料油や潤滑油(エンジンオイル)を月末になると無理やり販売店に入荷させる慣習のこをと「押し込み」と言います。

 私は出光興産株式会社名古屋支店勤務の頃も押し込みは一切やりませんでした。大阪支店販売一課長の時には、課員が押し込みをしようとしたら「販売店の財務バランスが一気に崩れるぞ。押し込みはダメだ」といって辞めさせました。すると他の課から「俺たちはしんどい思いをして押し込みをしているのになぜ販売一課はやらないんだ」と言われました。私の返答は「自分たちが泥棒しているから俺の課にも泥棒しろっていうのか!」と言ったら「泥棒とはなんですか!」とくってかかってきました。

  これがいけないんです。日本の社会は。間違った仕事の仕方をしていて、それが当たり前になっています。それが若い人の成長をどれだけ阻害しているか。兵庫県庁もそうなのでしょう。

 堂々と売ればいい。「もし押し込みをするなら、月初に押し込みをして、月末までに押し込んだ分を販売店を一緒に売り切ってこい」と課員には言いました。

 私が課長に時にやった「まともなこと」は、他の課長からバッシングがありました。それも私が出掛けていない時に、うちの課員にバッシングするのです。私が当時、出光で最年少課長であったことも彼らには目障りだったのでしょう。

 閑話休題。では、自由化の話。
  車に乗って阿武隈山地を越えて担当地区の相双(そうそう)地区(相馬と双葉:東北大震災の原発被害が酷かった地区)に向かう時にカーラジオから「丸善石油と大協石油」の合併のニュースが流れてきました。すぐに出張所に公衆電話から連絡しました(当時はまだ携帯電話はなかった)。

 丸善石油は名門です。小川ローザさんという女優がバイクに乗って風でスカートが捲れ上がってパンツが見えるCMがありました。セリフは「おーモーレツ」でした。若い人はしらないか〜(爆笑)。


 ものすごく話題になりました。その丸善ですが、特約店(出光でいう販売店)管理に対する売掛金回収がとても甘かったのです。特に、群馬にあるRMという大手特約店に対する売掛残が巨額で名門丸善石油の屋台骨を揺るがしました。大協石油の方が規模はかなり小さかったのですが、大協石油が丸善石油を吸収する形での合併です。さあ、十三あった元売りの再編が始まります。今では、3グループしかありません。

 後付けの知恵ですが、石油業界の問題点は、製造と流通です。これが解決しないうちに小売を持つ特約店(販売店)を再編しても何もなりません。通産省による製販ギャップ指導、ガソリンスタンド枠の規制等等がボトルネックなのにそこのターゲットを当てずに問題点から逃げている業界は良くなりません。

 現に私が大阪支店に赴任した時は、まだこの問題がありました。石油業界が流通市場を整えるのは、私が、出光興産株式会社を辞めてからです。製油所の再編、元売りの合併とそれに伴う流通の大改革です。今ではかなり落ち着いた業界になっています。ガソリン税・軽油税等の石油関連税制の廃止を除けば。なんと、その石油関連税制の上に消費税のTAX on TAX問題もあります。石油関連税制だけで五兆円あります。これを無しにするには財務省がかなり抵抗しするでしょう。

  ともあれ、石油業界の自由化のスタートです。

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このページは、宝徳 健が2025年2月11日 02:31に書いたブログ記事です。

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