宇佐美の親父さん27:どんなTCSか(皇紀弐千六百八十五年 令和七年(2025年)二月ニ日)7

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 この記事では、宇佐美の親父さんが非真面目な思想で開発したTCS(トラックステーション)について、私が親父さんから伺った話を書いています。今日のテーマはゆで卵です。



 親父さんの非真面目もきっと、常に試行錯誤とトライアンドエラーを繰り返したのでしょう。でも、一緒に宇佐美のTCSに行くたびに昔あった話を楽しそうに話してくれます。必ず思いとともに。

 ある日、一緒に巡回した日に、昔、ショップ内のテーブルに「ゆで卵を3個50円(当時)販売した話を聞きました。

親「どうだ、宝徳、それなら買う気になるだろう」
私「はい、でも、それって原価割れではないですか?」
親「全くお前はいつも何も考えん奴だ。真面目に考えるなと言ったろう。非真面目だ。馬鹿につける薬があったら100万円出してもお前につけてやる」

 また、これです。何回目だ。と、思ったけど、何回も言うというのは親父さんに言わせたら1万回だそうすから。うん、1万回聴こうと思いました。

親「一度に3個もゆで卵を食う奴がいるか? 多くの人が一個か二個、ゆで卵のカゴに返していくんだ。どうだ。これなら原価割れしないだろう。お客様に喜ばれて結果的に儲かるのがお客様のためになるんだ。安いなあ、って買って気分が良くなって、そして、結果的にもうかる。うんうん。宝徳なあ、商売は儲けよう儲けようとするな。儲けようとすると商売が小さくなるぞ。お客様のためになることをしていれば、お客様が自然と儲けさせてくれるんだ。覚えとけ」(このセリフも100回は聞きました)。

私「(すっげえ! これって二宮尊徳の『遠くを図る者は富み、近くを図る者は貧す』じゃん。口で言うの簡単だけど実践はこうするんだ」

 私に自慢すると親父さんの顔はたまにドヤ顔になるのが可愛いのです。

 そして、さらに思ったことはスループット会計とそれを実現するための制約条件の理論なのです。私の頭に入っていたことの実践版をいつも親父さんは現場で「魅せて」くれます。福澤諭吉先生のいう「実学」とは、こう言うことなのでしょう。上滑りの学問ではダメだ! ということですね。
 今でもあるのかな? 「ザ・ゴール」という本があります。確かアメリカ人が書いていたのですが、「(日本が強かった頃)日本には、この本を出版するな。彼らが真似たらまた日本が強くなる」と著者が日本での「出版」を17年間も禁じた本です。

 弊社蔵書より。

 テーマはTOC( Theory of Constraints セオリー オブ コンストレインツ:制約条件の理論)です。

 まずは、スループット会計から。ぶっちゃけていうと「回転率を上げて速い経営をしなさい」というものです。よくかき氷とパフェで例を示されます。かき氷の粗利が1杯100円とします(知らんけど)。パフェの粗利が1杯200円とします(知らんけど)。パフェの方が儲かるのですが、回転率は圧倒的に(夏場はかき氷です)。結果的にかき氷の方が儲かります。

 岐阜に「ひらく」と言う抜群に安くてうまいかき氷屋さんがあります。 夏しかあいていないですが、長蛇の列です。ここは儲かっていますね。逆に豪華で美味しいかき氷も岐阜にあるのですがここでも長蛇の列で「これがかき氷の値段か」と思うぐらい高いのです。高いから、せっかく入ったからゆっくり食べよう。またお客様が並ぶようなります。儲かってはいるのですが、チャンスロスをしています。

 次に、その速い経営をしようとしたら、ボトルネックをなくす必要があります。

 例えば、ある製造業で、A工程(製造能力100)、B工程(製造能力100)、C工程(製造能力100)、D工程(製造能力50)の4つの工程があるとします。この製造業の全体の能力は50なんです。いくらABCの工程が尽力しても、D工程で詰まるので、ABC工程で作った製品や買った原材料や雇った人にかかる件費等に無駄が生じているのです。これを解決するには、

1)D工程の能力を100にあげる(これは至難の業。IT化や機械の設備投資が必要)
2)すべての工程の能力を50にする(今のお客様に答えられるか)

 しかないのです。つまりD工程がボトルネック(制約条件)となっています。現に特に中小の食品や化粧品製造業では「梱包」という工程がとてもボトルネックになっています。前の工程で作った製品ややっとった人件費が無駄になっています。

 病院でもそうですね。受け付けでずいぶん待たされ(これは医師の出てくる時間と診察の時間がネック)、会計でずいぶん待たされる(システム化が遅れている)。(最近大きな病院では、受付がかなり改善されているのですが)つまり、病院経営は、この受付と会計がボトルネックになっているケースが多々あります。

 前にも紹介しましたが、神戸にある甲状性ホルモンの治療で有名な隈病院があります。ものすごいIT化がされていて、人は少なくて済んでいますし、上記のボトルネックがかなり解消されています。これなら看護師基準1対7は満たせるでしょう(収益増)。また、病院内に素敵なレストランがあるのですが、きっとここも流行るでしょうね。お客様に気持ちの余裕ができますから。

 このスループット会計をするためにボトルネックを解消することを

制約条件の理論

と言います。

 しかししかししかし、宇佐美の親父さんは、もちろんこんな理論なんて知らないのですが、非真面目な「『脳』力」で、販売することによって、「お客様にボトルネックを解消してもらっている」のです。つまり、親父さんの非真面目「『脳』力」こそがスループット会計とボトルネックを解消しているのです。

小声で「これって、スループットだよね」と独り言を言うと、親父さんの筋肉の脳と地獄耳に聞こえたようで、

「また、難しい言葉を使っとる。それよりもまず考えろ」と言われました。

つまり、能力の前に「脳」力なんですね。

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このページは、宝徳 健が2025年2月 5日 02:38に書いたブログ記事です。

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