どの本よりわかりやすいスモールM&A(皇紀弐千六百八十五年 令和七年(2025年)二月二十二日)

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  大手企業のM&AのPMIはどこから始まるか。吸収した会社の文化を叩き潰すことから始まります。

 それをやらないとどうなるか。

 みずほ銀行のようになります。みずほ銀行は合併の歴史です。まず、第一国立銀行と日本勧業銀行が合併て第一勧業銀行になりました。世にいうDとKです。

 第一国立銀行は日本最古の銀行です。澁澤榮一が設立しました。日本勧業銀行は官営銀行です。債券を資金源に長期低利融資を行いました。1950年に普通銀行になっています。


  このふたつの銀行が四十六年(1971年)に対等合併で第一勧業銀行になりました。途中、商業銀行になったとはいえ、官体質が残りました。それが商業銀行と対等合併をしても体質が合うわけがありません。これでは正当なPMI(統合後の組織運用・Post Merger Integratioon)ができるわけがありません。

  そんなとこところに富士銀行が加わります。富士銀行は敗戦前は日本最大の金融機関でした。安田財閥です。敗戦後の財閥解体によって「安田銀行」だったのを「富士銀行」に改名しました。私が学生の頃は富士銀行でした。私はこの銀行は大好きでした。同系列だった三井物産もそうですが、とてもよい雰囲気を持っていました。おおらかな銀行でした。これが今のみずほ銀行におけるFです。
 
  一方で 特殊銀行である日本興業銀行というところがありました。事業資金の供給・社債引受業務・外資導入・証券市場の育成等を行なっていた明治三十五年(1092年)設立の超名門金融機関でした。私が大学一年生の時にクラブの四年生が興銀に就職が決まりました。みんな「すごい!!!」と言っていたぐらいです。それが長期信用金庫になり、長期信用金庫が解体された後は、第一勧業銀行に合併されました。これが今のみずほ銀行におけるGです。

 メガバンクを作るのは大蔵省の彼岸でしたからこれはこれでいいのですが、この結果、十三あった年銀行が、「三井住友銀行(住友銀行+三井銀行+太陽神戸銀行)」「三菱UFJ銀行(三菱銀行+東京銀行)」「りそな銀行」が4つに集約されました。

 三井住友銀行は住友銀行が、三井銀行と太陽神戸銀行を、三菱UFJ銀行は三菱銀行が、東京銀行(ここは海外展開が得意な名門です)をそれぞれ吸収した形になっています。

 何が言いたいか。大企業の合併は、対等合併をすると失敗するのです。吸収する相手を叩き潰すぐらいのことをやらないと派閥ができます。その叩き潰された方でもそのなかから出てきた優秀な人認められますが。みずほ銀行出身者がみずほ銀行の同窓会に行くと、D、K、F、Gに分かれて行われます。そして、「あのDのやつが」とか、いまだにそんな話になるのです。電子システムがしょっちゅう破綻しているのがわかります。

 中小企業間のスモールM&Aでは、これを過度にやってしまうと組織が崩れてしまいます。
  中小企業はほんの少しの組織の乱れが致命傷になるこが多々あります。なので、詳細なDD(デューデリジェンス:企業の人間ドック)に基づいたPMIは不可欠です。

 中小企業のM&Aは買い手企業の戦略に基づいてシナジーを発揮することが目的なのですが、そのことが必ずしも実現できているとは言えないのです。


  たとえば、あまり知らない企業を業績が良いからと言って買ってしまった企業がありました(株式譲渡)。でもその企業は買った企業の業務に関しては経験がなかったのです。そういう時には、ただ買ってしまったとうだけで、PMIはほったらかしといいった内容になりがちです。

 また、買った後に早急にその買った企業に対して、自社の都合をあれやこれやと押し付けると、買われた企業の従業員は疲弊してしまいます。なので、大企業のM&Aのように買った企業が上で買われた企業がしたという意識が少しでもあって、買った企業を叩き潰すというやり方は当初の目的であるシナジーなどとても実現できません。

 企業には「起点力」「共感力」「共有力」の社員が得心する強烈な「目的(コンセプト)」が必要です。つまりコンセプチュアルスキルが必要なんです。このコンセプチュアルスキルで異なる文化の二つの企業を精神的に統一してからではないと、「手法としての」PMIは無意味です。買った企業の社員一人一人をマネジメントなんて絶対にできません、

 しかし、人材不足からこのPMIは実現していないケースが多々あります。それか、オーナー会社として別々の会社を経営しながら、徐々にシナジーを発揮していくか。でもそれにはオーナー経営者の頭の中にその明確な構想がなくてはダメです。
 
 つまり、少しお金はかかっても、DDとPMIはきちんとおこない、まず目的づくりからはじめる必要があります。それができないようならそのM&Aは・・・・。一気に書いて企業の組崩すリスクがあります。

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このブログ記事について

このページは、宝徳 健が2025年2月23日 03:20に書いたブログ記事です。

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