石油業界の歪み:アラムコ格差を利用した在庫評価(皇紀二千六百八十五年 令和七年(2025年)三月一日 土曜日)

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 前回はアラムコ格差について説明しました。これは、アラムコ系とそうでない石油会社に非常に大きな価格差を作りました。でも、それだけではおさまらなかったのです。あっ、そうだ、アラムコって一体なんだ?と疑問に思われる方もいらっしゃるいと思います。

 「Arabian American Oil  Company:アラビアン・アメリカン・オイル・カンパニー」です。

 アラビアンの「AR」 アメリカンの「AMC」 でアラムコです。 サウジアラビアの原油採掘権を有する世界最大の石油会社です(旧社名ですが)。

昭和八年(1933年)にカリフォルニア・アラビアン・スタンダード・オイル・カンパニーとして設立されました。このスタンダードオイルというのは当初セブンシスターズどころか世界の石油を牛耳っていました。反トラスト法というアメリカの独占禁止法で34社に解体されます。詳しくは前にご紹介した「セブンシスターズ」という本をご覧ください。

 それがスタンダードオイルオブカリフォルニアやスタンダートオイルオブニュージャージとかなんですが、今でも、根はスタンダードオイル(以下、SO)です。ロックフェラーです。強大な権力を持ちます。アメリカで石油をもっと売りたいSOは、鉄道会社の株式を買い取って潰してしまうことまでやりました。

 SO=エスオー=エッソです。

 昭和十一年(1936年)にテキサコというという石油会社が資本参加しました。

 昭和二十三年(1948年に)モービルとエクソンが資本参加しました。もっともすべてSOですが。

 昭和五十五年(1980年)にサウジの国有化で社名がサウジ・アラムコとなりました。サウジアラビア国内の原油生産・販売を行っています。サウジアラビアとアメリカがべったりですが。

 オイルショック(特に第二次)において、この会社がアメリカ企業に安く原油を販売し、他の国の石油会社にはプレミア等をつけたのでアラムコ格差が生じました。

 さて、このアラムコ格差に追い討ちをかけたのが「在庫評価」です。当時アラムコ系は「後入先出し法」を採用していました。このアラムコ格差で安い原油が手にはいると、その安い価格が在庫評価されます。「後に入れた」ものを「先に出す」からです。

 アラムコ以外は「移動平均法」です。過去の高い時の原油と今の安い原油(といってもアラムコ格差があったから安くはなかったが)両方をつかって在庫評価するのですぐには安くなりません。どちらの在庫評価がいいかとかはないのですが、在庫評価は前もって税務署にとどける必要があります。今の元売がどの在庫評価を採用しているかは私は存じ上げていませんが、この時はアラムコ格差と在庫評価のダブルパンチで石油製品販売業(特にアラムコ系以外の特約店・販売店)はたまりませんでした。ダウンストリーム(石油流通過程で一番現場に近いところ)が割を食います(特に日本の場合は)。

 あの普段元気がいい出光の素敵なおっさんたちもなすすべがありませんでした笑。

 さあ、次回は、特定石油製品輸入暫定措置法(特石法)から石油製品の輸入自由化にいたるまでの歪みをご説明しましょう。

 こういう変化が起きる時に一番大切なのが、「幹部社員のうち何割がオーナーシップを有して」いるかでその企業のその後の発展が左右されます。

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このページは、宝徳 健が2025年3月 1日 02:41に書いたブログ記事です。

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